少年少女エクスピエート【劣等少女３章】

7. 理解不能 ページ7

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　陽歌(ヒラルス・カヌトス)についたヴィオルドはカリーナに配慮して入口に近い席に座った。席はほとんど埋まっていて、Aたちは忙しそうにしている。

　しかし、今は緊急事態だ。“明けない夜”という言葉がヴィオルドの中で警鐘を鳴らす。仮面の青年が何を仕掛けてくるかもわからないし、すぐにAに知らせなければならない。

「A、こっち来てくれ」
「ヴィオ！ 暇を取れたの？」
「ああ。だが状況が変わった。ちょっと聞いてくれ」

　料理を運ぶのに忙しかったAはヴィオルドに声をかけられて初めて彼がいることに気づいた。軽く驚いたが、ヴィオルドの真剣な声音にただごとではないと感じられる。彼女は持っている料理を急いで出し、彼のテーブルに向かった。

「何かあったの？」

　名前の問いかけにヴィオルドは仮面の青年について話し始めた。



　話が終わった頃、Aは怪訝そうな顔で疑問を口にした。

「明けぬ夜(ポラル・ノクシア)の再来？ でも、あのとき全員死んだのでしょ？」

　Aもヴィオルドと同じことを考えていた。見知らぬ青年がわざわざヴィオルドにそれを告げることへの気味の悪さも感じているようだ。彼女は続けて口を開く。

「その仮面の人が同じ名前で新しくつくったとか？」
「だとしたら、なぜ俺のことを知っている？」
「それもそうね……」

　二人はそこで沈黙してしまう。わからないのだ。どこかで彼らの理解できないことが起こっているのかもしれない。
　その沈黙を破ったのはAだった。

「とにかく、知らせてくれてありがとう。私も考えてみる。仕事に戻るね。……気をつけて」

　注文が溜まっていくのを見て立ち上がるA。最後、心配そうに言葉を残した。

「ありがとう。Aも気をつけろ」

　ヴィオルドもAへの心配を言葉にして、店を出ていった。そろそろ親衛隊に戻らなくては。

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