すきで、好きで。

２０ ページ21

さくらside








「ねぇ！みっくん！やば！
このシュークリーム激うまっ！！」


「はいはい、良かったな」


「食べる？」


「いや食わねぇし。
お前さっきまで腹いっぱいっつってたのに、」


「別腹だよ。
ほら、食べてみよ？おいしいよ？」


「だからいらねっつーの」






・・・ほんっと頑固なんだから。






「じゃあいいよ、食べちゃうからね」






後で後悔しても知らないんだからっ、て
目の前であーんって見せつけるようにおっきく一口で食べちゃうと、






「ふは、お前クリームだらけじゃん」







呆れたように私の口の端を親指で拭って
そのままそれをぺろっと舐めた。








「？！？！？！」



「うっわ、あっま。」








よくこんなん食えるな、って
また平然とソファに項垂れる。







.









「……し、信じらんない……、」


「へ？」









ほんっっとこの人
こういうこと無意識でやりすぎじゃない…？

普通こんなこと
彼女でもない女の子にすること…？！







.









「みっくんてほんと天性がチャラいよね」


「天性、なんて難しい言葉よく知ってんな」


「・・・(むかっ)」







ふふん、って得意げに笑うみっくん。

さっきまでドキドキしちゃってたのも忘れて
馬鹿にすんなぁ〜！ってクッションを投げつけると
みっくん越しに、テーブルの向こう側の藤ヶ谷さんとバチッと目が合った。







.









「・・・」


「なんだよ、どうした？」


「いや、別に…。」








クッションを仕返しに投げ返してきたみっくんにそのまま黙ると
不思議な顔して覗き込んでくるから
みっくんから目を逸らした。



何となく
みっくんにデレてる自分を藤ヶ谷さんに見られるのが恥ずかしくて。

２１→←１９

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す