すきで、好きで。

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さくらside





カニがおいしい。
久しぶりだからか、めちゃくちゃおいし〜。
身がぷりっぷりなんだけどぉ〜。






……とか思って無心に食べてたら
Aちゃんが藤ヶ谷さんに奇妙な質問。

それに続くようにみっくんまで奇妙な質問。

そしてそして、
それにまた続いて藤ヶ谷さんが驚きの回答。







.








「はっ？！
藤ヶ谷おまっ、

「あっ、」


「えっ？！」






みっくんが藤ヶ谷さんに問い詰めようとしたその時
ガタッと急に立ち上がって、カニを両手にしてる私の手を取った藤ヶ谷さん。








「……ん？！」


「お酒なくなったから買い出し行こっか」


「…？！？」







…え？！わ、わたし…っ？！

口いっぱいにカニを頬張ってたもんだから
言葉を発することも出来ずに藤ヶ谷さんを見つめると







「ちょっ、酒ならまだあんだろ？！」


「すぐなくなるから。
ほら、一緒に行こ」







呆気に取られてるみっくんとAちゃんを残して
藤ヶ谷さんは私が手にしてたカニをテーブルに置いてから
そのまま逃げるように引きずられながら部屋をあとにした。







.









.








.







「ちょっ、藤ヶ谷さんっ？！」






ようやくカニを飲み込んで言葉を発せられるようになった私は
玄関先で立ち止まった。







「なに？」


「なに？って…、
お酒ならまだあるらしいですよ？」


「うん、知ってる」






・・・はい？






「だったら買い出し行く必要ないじゃないですか。
まだカニ食べたいです、私。」


「はは、ごめんね。
ちょっと二人っきりになりたかったの、さくらちゃんと。」


「二人っきりになりたかった…？」







その言葉を理解できない私に
掴んでいただけの手を、密着させるように握りしめた。

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