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「オレ、キセキじゃないから、赤司っちが来たら多分追い出されちゃうし。もうちょっとだけ堪能させて欲しいんス」
ファンが聞いたら卒倒しそうな台詞と共に、柔らかく抱きしめられる。
というか、ちらりと見たギャラリーの中で、既に数人失神しているファンが出ていた。
ふわりと黄瀬の身体から甘い匂いが香りたつ。
黄瀬の胸板を押し返す和泉の手から、やや力が抜けた。
「……あと三秒だけだよ?」
「短い!」
ガーン、とショックを受けたような顔をしても、黄瀬はきちんと三秒後に放してくれた。
こういう紳士な所が、やっぱり人気の秘訣なんだろう。
他愛もない話をしているうちに、青峰と桃井も合流して、久々の再会にいっそう賑やかになる。
緑間に遅いと叱られている青峰を眺めながら、桃井ちゃんが引っ張ってこなかったら、たぶん青峰君も入学式をサボっていたかもしれないな、と和泉は苦笑した。
その頃になってくると、寝起きの青峰の、あからさまに不機嫌そうなオーラに恐れをなしたのか、黄瀬やキセキの世代に興味津々だったギャラリーは、その数を減らしていた。
残るは赤司君と、きっといつものように彼に付き添っているだろう紫原君と、それから。
「呼び出しといて一番最後かよ」
「あいつはそういう奴だろう」
欠伸をかみ殺しながらぼやいた青峰に、お前が言えたことか、と緑間が眉間に皺を寄せる。
色黒で精悍な青峰と、色白で美人な緑間。
二人を見比べて、和泉は先程の黄瀬の発言を思い返した。
帝光の敷地内では、男も女もない。
男女問わず、『キセキ』は憧憬の対象だ。
そして『キセキ』に近しい人間で、彼らに相応しくないと認められた人間は、妬みや嫉み、劣等感や悪意を、まとめて向けられることも珍しくはなかった。
『キセキ』の圧倒的な影響力の他にも、この学校を支配している独特の規則は多い。
学校の『外』の世界とは、常識からして異なっている帝光は、『外』の世界の人間だった黒子の目に、どう映っていたんだろう。
黒子を無意識のうちに探していたことに気づいて、和泉は肩を落とす。
「テツは居ねーのか」
不意に、青峰の呟きが、やけにはっきり聞こえた。
「来てない、みたい」
「……そうか」
集合は黒子にもかかっている。
現れないということは、きっとそうなんだろう。
和泉の答えに、青峰は目を伏せた。
どこか安堵したように、和泉には見えた。
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心音(プロフ) - 感動の一言です。面白さもあるなかでの、作品の静かな雰囲気が本当に素晴らしいと感じました!更新、楽しみにしてます! (2015年6月28日 9時) (レス) id: da51ec7942 (このIDを非表示/違反報告)
www - でもが2回も続いてしまいました(汗すみません… (2014年12月26日 15時) (レス) id: 923386029d (このIDを非表示/違反報告)
www - ひぢのさん» そうですよね!あ、でも作品ほとんど消えてしまってて…。せめて残して欲しかったって言うのは私の我儘ですかね…。でも、その人がいるサイト分かったので行きます。ひぢのさんの小説もちゃんと読みます(ニコッ頑張って下さい!ランキングとかに乗るといいですね (2014年12月26日 15時) (レス) id: 923386029d (このIDを非表示/違反報告)
ひぢの(プロフ) - wwwさん» 作品を書くのがお好きな方でしたし、ガッツもありましたから、きっと裏切り云々の規約のない新天地で返り咲いてくれることでしょう。占ツク時代の作品のタイトルなどを頼りに、探してみることをお勧めいたします。 (2014年12月26日 15時) (レス) id: e3c5154d5f (このIDを非表示/違反報告)
www - 裏、切りの小説が少しでも減って皆で楽しめるようになるといいですね! (2014年12月26日 15時) (レス) id: 923386029d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひぢの | 作成日時:2014年12月25日 5時