一番上の姉【ヒプマイ】

同僚 ページ16

リーマンは、よそよそしい雰囲気で話しながらも姉のことを気にかけていた。



「そうですか…す、すみません、でしゃばったことを…」


『イヤ、気にすんな。お前には、アイツのことで知ってること全部話してもらいたいんだ』


「ぇ、あ、はい…」


『あまり言いたくはねぇが、俺はアイツのことを本当に何も知らねぇ。好きな食べ物も何も。強いて言えば大量のもんを背負ってたことくれぇだ』


「き、兄妹なのに…」


『嗚呼、笑いなきゃ笑え。女には手ぇ出さねぇって言っておきながら実の姉にはあの様だ』



喫茶店の喫煙席に置かれたガラスの灰皿に煙草を押し当てる。


畏まった姿勢で聞くリーマンに俺は自傷した。


こうしてシノギを削るようになって、家族を守ると誓ったのにこの有り様だと。


リーマンは特に何も言わなかった。


笑ってくれた方が、俺の気持ちは少し楽になったんだがな…。



「Aさんは優しい人です。仕事もできて俺みたいに残業ばかりの要領悪い社畜にも優しくしてくれて相談にも乗ってくれて…けど、それが気に入らない社員に仕事を押し付けられるようになって…」


『…』


「社畜になっても嫌味ひとつ言わず頑張ってて、逆に率先して仕事を手伝ってくれて、みんな、そんな彼女に甘えてどんどん仕事を押し付けて…」


『…今、アイツのいない会社はどうなってる』


「仕事を回す相手がいなくなったので、必死にやってます…。Aさんがいた時より仕事が円滑に回らなくなりました」


『そうか…』


「どれだけ仕事を押し付けられても彼女は気にしないでって笑いながら仕事してて…けど、Aさん、絶対疲れてたんです。栄養ドリンクの量も、隈も、全部俺より酷かったから…」



リーマンの話から姉は俺たちと一緒の時とあまり変わらないようだった。

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