運命の糸は知っている[上杉和典]Season２

８９紡ぎ目 ページ43

貴『あ、ここのお店』




スマホで調べた目的地につき、足を止める。

私たちが向かったのは、ある専門店。



立「Aはどれがいい？」


貴『なるべく、お互いの好きな色同士のペアがいいわよね』



そう、ここはペアルック商品の専門店。

といっても、服を買う訳じゃなくて、一緒に売っているアクセサリー目当て。

いわゆる、お揃い。



立「あ、このクローバーのブレスレットどう？」


貴『ん、可愛い...』



アーヤが指指したのは、ラインストーンを埋め込んだクローバーがついたブレスレット。

赤とか青とかの基本色もあれば、エメラルドグリーンとかの細かい色もある。


アーヤの好きな菜の花色も。

アーヤはもちろんそれを選んだ。



立「Aは何色にする？」


貴『ん〜...』



悩んだ末、アメジスト色という、紫と青の中間っぽい色にした。

友達とお揃いなんて初めてで、無意識に口角が上がる。


会計を済ませてお店を出る途中、一つのネックレスに目が行った。



貴『(...綺麗)』



割れた銀色のハートのチャームがついた、

相手とくっつけるとハートの形になるネックレス。

恋人同士がつけるようなものだった。



貴『(....和典、あーゆうの好きそうじゃないし)』



そう思って、私はネックレスから目を外した。



立「次のお店、どれにする？」



アーヤは、事前に行きたいところをまとめて置いたメモを見ながら聞いてきた。


私はここの地図を思い浮かべ、１番近いところを選ぶ。



貴『多分、レジン体験ができるところが近いはずだから、そこにしましょうか』



レジンって言うのは、紫外線に当てると硬化する液体で、

綺麗な小物が作れるから、DIYに人気。


実際私たちも作ったことがないので、行ってみたいということになった。



そこに向かおうとすると、誰かの泣き声が聞こえた。



貴『...ぁ』



辺りを見回し、私の目に入ったのは、一人で泣いている３歳くらいの男の子。

私は無意識に、その子の元へ向かっていた。

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