運命の糸は知っている[上杉和典]Season２

８２紡ぎ目 ページ36

上「てなわけで、付き合うことになったから」



さっきまでの流れをみんなに説明し終えると、

全員が脱力したように嘆く。



若「やっとかよ...」


七「ともあれ、成功したならよかったよ、分かってたけど」


小「おめでとう、上杉、天海夜」



やっとかって言えるほど長くないような気がするけど。



黒「んで、なんて告ったんだよ？」


美「あ、それ俺も知りたい」


上「はぁ？言うわけねーだろ」


若「力ずくで吐かせる！」



するとみんな、上杉を囲んでわーきゃーじゃれはじめた。

私じゃなくてよかったかも。



片「...よかったな、付き合えて。お前の初めて出来た好きな奴だろ」



あの輪に入らなかった悠飛がそう隣で言った。



貴『...上杉は、私の「初恋」であって、初めて好きになったわけじゃないわよ』


片「は？なら最初は誰なんだよ」



これは言ってもいいのか悪いのか...。

今はもうそんな感情は寄せてないから、大丈夫よね。



貴『最初に好きになった人は貴方よ、悠飛』


悠「は？」



私がそう言えば、目を大きく見開いた。



貴『私たちがまだ幼い頃、私は悠飛が好きだった。

　 けど、悠飛にとって私はただの幼なじみだし、私も、悠飛は

　 自分と幼なじみだという関係が当たり前になってきて、

　 次第にその気持ちはなくなっていった。

　 結構短い間だったから、恋とまでは行かなかったのよ』


片「....そうか」



そう言った悠飛の顔は悲しげで、どこか悔やんでいるようにも見えた。



貴『悠飛...どうかしたの』


片「いや...それより、まだ花火は終わってないぞ。

　 最後まで思いっきり楽しもうぜ？」


貴『...そうね』








片「何だよ、それっ....」(ﾎﾞｿｯ




この悠飛の言葉は、私の耳には届かなかった。

　

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