運命の糸は知っている[上杉和典]Season２

６５紡ぎ目 ページ16

天｢いや〜、にしてもあのお姉ちゃんがね〜｣


貴『どういう意味よ、それ...』



ケーキの箱を潰しながら聞き返す。

そんなに私が異性を好きになるのが珍しい？


いやまあ、確かに今の今まで一度も恋なんてしたことないけど。

そう、【恋】はね。



天｢だって、あんなにかっこよくてモテる悠飛くんにすら惚れないお姉ちゃんがだよ！？

　私がお姉ちゃんだったら絶対好きになってるもん！｣


貴『...悠飛は幼なじみでしょ。一緒にいるのがほぼ当たり前みたいな感じだし』


天｢めったにないよ〜あんなイケメンが幼なじみなんて｣



悠飛はカッコイイ、それは事実。

学校でもよく告られてるとこ見るしね。


でも彼氏になるっていうと...なんか違和感。




天｢ま、上杉くんを好きになるのも分からなくはないよ？

　涼しげでクールだし、大人っぽいし。


　お姉ちゃんって、上杉くんみたいな人が好みなの？｣


貴『ん〜....』



そもそも私、こういう恋バナとかしたことないし、好きな人のタイプとか考えたことなかった。

改めて考えてみる。



貴『なんていうか...刺激のある人？

　 私が知らないようなことたくさん知ってると、常に新しいことを知れるでしょ？

　 そんな人と一緒にいると楽しいし、飽きないと思うの。


　 あとは、優しさ。

　 不器用でもいいから、困っている人を助けようとする優しさがあったらいいな。

　 そういう人って、自分の意見を貫き通そうとすることが多くて、周りとぶつかるでしょ。

　 そういう時にたまに見せる弱さを慰めてあげたい。お互いね』


静かに聞いていた美恋が、ふぅ、と息をついた。



天｢お姉ちゃんって、やっぱり真面目だね。

　普通女子は、優しい人！とか面白い人！運動出来る人！って大雑把だよ。


　だけど、その大雑把がどんどん細かくなって、満足出来なくなる。

　相手が自分の好みじゃなくなって、最後はフラれるか、自然消滅。


　お姉ちゃんは具体的に好みがあるから、簡単に人を選ばないのかな。

　だからこそ、理想の相手を見つけたら、ずっと長続きするんじゃないかな？｣



この子、なんでこんなに詳しいのかしら...？


何回か思ったけど、私と美恋って、外見は似てても性格は真逆なのよね。

私は恋愛には大して興味ないし、基本は一人でいるタイプ。

けど美恋は、恋愛にも詳しいし、性格も明るい。

退院して夏休み明けから学校に通う事になっても、すぐにクラスに馴染めそうね。

..よかった。

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