"通称"愛されマネージャーの日常second【番外編】

ぬいぐるみに？(以前書いた、夢主がこれ好きだったら〜の続きです) ページ10

『一也、そろそろ離して』


「やだ」



このやり取りも、今ので何回目だろう。

そんなことを思いながら、私はこうなった経緯を頭の中で再生した。


今日部活がオフだったから、幸と春乃と一緒に唯の家に行っていた。

私は夕飯の手伝いがあるからと、途中で抜けて他の二人より先に寮に帰ってきた。

そしたら部屋から出てきた一也に遭遇して、

そのまま訳も分からず部屋に連れ込まれ、今に至る。


この時系列のどこにこんなことになる要素があった？

それを聞いても一也は答えないし、

離せと言えばいやだとだけ帰ってくる、非常に面倒くさい。



『ねえ、私夕飯の手伝いあるんだけど』



そう言って、私の身体を囲うように胡座をかいた足をペシペシと叩く。

すると、お腹に回されていた腕の力が少し弱まったので、

動けるようになった身体を捩って一也の方を見た。



『...で、今回は何？』


「...何か自分が嫌になりそうだし...」


『それでもいいから言って』



「いやよくねぇだろ」という小さな呟きは無視して、

私はじっと一也の瞳を見つけた。

私に無言で見つめられると、一也は必ず隠し事が出来なくなるからだ。


案の定、一也は少し粘ったあと、降参だと言わんばかりに溜息をついた。



「引くなよ？」


『内容によるわね』


「えー...」



こんなにもうじうじする一也は珍しい。

いい加減時間も押して来ているので、

私は『早く』と一也の頭を軽く叩いて促した。


一也は言い迷った後、怖ず怖ずと口を開いた。



「...ぬいぐるみ」


『ぬいぐるみ？』


「に、嫉妬した...」


『は？嫉妬？』



ぬいぐるみに...嫉妬...？

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