検索窓
今日:14 hit、昨日:11 hit、合計:52,473 hit

事故チュー ページ45

「......」


『......』



練習が終わり、外が完全に夜に包まれた時間帯。

普通なら部員は自主練に行っている時間帯なのだが、一也は違った。

怒ったような、拗ねたような、複雑な表情で私の前に座っている。


そうなるのも無理はない。というか、原因は私にある。

それは、練習が終わって寮に帰ろうとしていた時のこと。




練習の最後はロングティーで、私達マネは部員に混ざり、

外野に転がるボールを拾いに行っていた。


私の回りは一年生で、隣には沢村がいた。

二人並んで、他愛もない会話をしながらボールを拾っていく。



「それで、またあの男が俺を馬鹿にしたんですよ!俺は真剣なのに!!」


『沢村も軽い挑発に乗る癖は直すべきだと思う』


「うぐっ...」



一也と沢村のやり取りも相変わらずだ。

そして、私が沢村から報告と言う名の愚痴を聞くのも、

いっぱいになったカゴを倉庫に持っていこうとしたのもいつも通り。


そう、いつも通りだったのに。



「A先輩、足元にボールが!」


『え、あっ...!』



沢村がそう言うとほぼ同時に、私はカゴで見えなかったボールでバランスを崩した。

沢村が腕を伸ばして私を支えようとしたが、間に合わず。


不安定な態勢で私を受け止めた沢村と一緒に地面へ倒れ込んだその時。


____ふにっと、私の唇に何やら柔らかいものが当たった。


私が目を見開いて離れると、同じく目を見開いて身体を起こした沢村と目があう。

二人揃って口を抑えて固まっている姿は、傍から見たら滑稽なものだと思う。


...なんて、呑気な事を思っているどころではない。


いつからいたのか、隣から感じる圧に私達はゆっくりと顔を向けた。



「...沢村、お前何してんの?」


「いや、あの、これは事故でっ...!!」



わたわたと弁明する沢村の言葉に耳を貸さない一也。

その後、片付けを終えた沢村は一也に随分長いお叱りを受けていた。

そして、私は強制的に一也の部屋へ連行されたのである。



つまりは、沢村と事故チューというものをしてしまった。

・→←女を怒らせるのはご法度



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (46 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
111人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

桜餅(プロフ) - 藍こさん» 安心してください。私が黒歴史公開してる時点で大変なことになってるので←(そういうことじゃない) (2020年10月14日 19時) (レス) id: 03f4026521 (このIDを非表示/違反報告)
藍こ(プロフ) - 私が描くのですか???まさかそういう方向にもっていかれるとはwwwやめておいたほうがいいですよ!大変なことになっちゃいます! (2020年10月6日 14時) (レス) id: b64ba8aeaf (このIDを非表示/違反報告)
桜餅(プロフ) - そるとさん» 全然大丈夫です!描いていただけるだけでもう嬉しいので!!神イラスト楽しみに待ってますね\(^▽^@)ノ (2020年10月5日 23時) (レス) id: 03f4026521 (このIDを非表示/違反報告)
そると - 桜餅さん» 10/5は夢主さんの誕生日ということでイラストを描いているのですが、当日に間に合わなさそうです…(泣)すみません…近日中に申請してURLを貰ってきます! (2020年10月4日 20時) (レス) id: 46a8a6322a (このIDを非表示/違反報告)
桜餅(プロフ) - 菜々子さん» そのストック全部送ってくださいませんか_| ̄|○(土下座)私も菜々子さんの小説の更新wktkしながら待ってますw菜々子さんのとこの夢主さんが可愛いんじゃ(* ̄∇ ̄*) (2020年10月4日 19時) (レス) id: 03f4026521 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:桜餅 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.pnp/sakuramoti  
作成日時:2020年6月11日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。