"通称"愛されマネージャーの日常second【番外編】

女を怒らせるのはご法度 ページ44

ある日、礼ちゃんに用があってプレハブに行くと、

中から誰かが言い争っている声が聞こえた。


開けようとしていたドアノブから手を離して盗み聞きしてみると、

どうやら声の主はAと礼ちゃんらしい。


一体何を言い争ってんだ？



『ですから、一文二点でミス一回につきマイナス一点なんですよね？

　なのに何でここはミス一回なのに二点分跳ねられてるんですか』


「その分は中学生でも書ける簡単な文でしょ？
　
　それをミスしてるんだから、一回二点減点なんて当然じゃない」



話の内容から察するに、今日返ってきた英語のテストについてだろう。

礼ちゃんの配点に納得がいかなかったAが抗議しに行ったと。


俺はAのテストの点数を思い出した。

百点ではないしにしろ、学年最高点数に相応しい点数だったはずだ。

なのにさらに得点アップ狙ってんのか。


レベル高っ、と思いながら、俺は止まらない会話に耳を澄ませる。



『英語の文法は全部中学生のものが基本ですし、

　高校で習う文法も殆ど中学で習ったものばかりじゃないですか。

　それに、単語はちゃんと今回のテスト範囲のものを使ってます。

　それでも中学生が書けると言えますか？』


「何と言おうと、私は上げないわよ」


『はぁ？』



怒りがギリギリまで来たのか、Aから敬語が抜ける。

流石に止めなければと思い、俺はドアを思い切り開けた。



「二人とも、喧嘩はやめ...」


『「部外者は黙ってて！！」』



俺の言葉を遮って言い放たれた言葉が、鋭い眼光と共に俺に突き刺さった。

てか俺部外者呼ばわりかよ...。

俺が内心少し傷付いている間にも、二人の口論はヒートアップしていく。



「そもそも、貴方の点数ならこれ以上の得点アップは必要ないでしょ！」


『ありますね。進学するならテストの点は一点も無駄に出来ませんし、

　何より私はこの配点に満足してません』


「あの、もう練習始まるんだけど...」



睨み合う二人にそっと声をかけると、二人は同時に口を閉じた。

そして、ゆっくりと俺の方を向いて。



『「黙ってろって言ったわよね...？」』









「てなことがあったから、あの二人は今後二度と怒らせないように」


「「「いや怖えーよ」」」


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あーゆー様、リクエストありがとうございました！

恋バナ要素殆どなかったですけど、どちらも書いててすごく楽しかったです(笑)

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