"通称"愛されマネージャーの日常second【番外編】

勘違い ページ13

ある日の夜、珍しい人物から電話がかかってきた。

画面に表示された名前に少し驚きながらも、私は通話ボタンをタップした。



『あなたからかけてくるなんて珍しいわね、白河』



そう言って電話に出ると、電話越しに面倒そうな声が返って来る。



「成宮がスマホ壊したんだよ。

　それで電話かけられないから、代わりに俺のからかけてる」


『原因は？』


「床に置きっぱなしにしてたの気付かなくて、ベッドから降りる時に踏み潰したって」



鳴の馬鹿さは相変わらずらしい。

中身のデータも殆ど消えたそうだ。



『で、その本人の声が聞こえないけど』


「監督に呼び出されてる」


『他に何やらかしたのよ...変わりないようで逆に安心だけど』



面倒くさそうにしている白河の気持ちが、少し分かった気がする。

けど、これからどうしようか。

鳴が戻るまでこの状態だけど、白河が興味ありそうな話題なんて思いつかない。

すると、先に話題を提供したのは白河の方だった。



「御幸とはどうなの」


『どうって？』


「付き合ってるだろ、アイツと」



まさか白河からそういう系の話題を提供されるとは。

私は少し考えてから答えた。



『特に何も。普通だと思うけど』


「ふーん...つまらないな」


『悪かったわね、期待に沿えなくて。

　まぁ...白河が思っているよりはいい奴よ、一也は。

　腹黒で性悪で生意気で言うこと聞かなくて独占欲強いのは事実だけど』



「ボロクソだな」というコメントはスルー。

たった今言ったが、これは紛れも無い事実だから。



『でも、いざという時は頼りになるし、部活も一生懸命やってるし、

　ふとした時優しくなるし、たまに可愛いとこあるから』


「惚気話を聞きたいんじゃないんだけど」


『聞いて来たのはそっちでしょ。これ、誰にも言わないでね』


「ふーん、俺のいないところで隠し事？」



ふと隣から聞こえた声に、私は固まる。

目線だけをゆっくり移すと、いつ入って来たのか、

一也が黒い笑みを浮かべて立っていた。

...白河の奴、一也の声が聞こえた瞬間電話切ってるし。



「今、誰と話してた？」



さて、どうやってこの状況を切り抜けようか。

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