Case.3 知っていいことわるいこと ページ16
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目が覚めたと思ったら、宙に浮いていた。
あれ？
何してるんだろう。
泣いてる人がいる。
ここはどこだろう。
見上げた先には、笑う私の写真がどかんと置かれていて、
ええ！ちょっとちょっと恥ずかしいって！この写真、去年に和也と出かけたときに不意に和也に撮られた写真じゃないの！！！誰よ！この写真を私の遺影に選んだのは！！！！
ん？
遺影？
あぁ、そうだ、この大きい写真、遺影だわ。
振り返ると、そこにはたくさんの椅子が並べられていて。
みんな黒い服を着ていて。
お母さんが泣いてる。近くに座ってるのは遠くに住んでるはずの親戚の叔父さん夫婦。小さい頃は夏休みに遊びに行ったなぁ…わざわざ来てくれたの？
ああ、向こうでみっちゃんが涙目で私の遺影をぼんやり見つめてる。久しぶりだね、みっちゃん…痩せたんじゃないの？隣にいるのって、もしかして。あっちには隣の家の神田さん？反対側にはみっちゃんのお姉さんも…いっぱい、いっぱい、みんな…来てくれたのかぁ…。
そう、今は葬式の真っただ中で、
死んじゃったのは私。
唱えられるお経を聞いているだけで、私のカラダをどんどん薄く、軽くしていくのが分かる。
ちょ、ちょっと待って！まだ！まだ待って！！
さっきからあたりを見回してもアイツが見当たらない。
アイツ、絶対いるはずなのに！どこに行った？んもー！
透けていく自分を、思う方向へ動かせば、するすると視界が動いていく。
すすり泣く声がはるか遠くなっていくと、なんだか感覚が少し戻ってきたような感じがして、あれ？私、さっきより透けてないかも、と思えてきた。
線香の匂いが染みついた建物の中をぐるぐる好き勝手に動き回る。
ふと、なんだか呼ばれたような気がした。
Aの、ばーか。
よく聞きなれたその声は、心の中に直接、ささやかれたように響いた。
なんだとぉ？このタイミングでも私に悪態ついてくるなんて！
声に近づいていくと、線香の煙とは別物の煙が漂う場所へ来た。
小雨が降る中で、小さなバルコニーからどんよりした雲をみつめてまずそうにタバコの煙を吐き出すその姿は、見慣れない礼服に身を包んでいても、一目でわかる。
「もう、たばこくせぇなんて怒られないもんなぁ？」
和也がつぶやいた言葉は、音と一緒にさっきのように私の心の中に響いてくる。
ゆっくり隣に並んだとき、私はやっと和也の目が赤くなっていることに気づいた。
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かなで(プロフ) - なり。さん» ありがとうございます！悪い言い方だと「尻に敷かれる」なんて言いますが（笑）先生をコントロールしたい婚約者、そして雅紀くんの行方も注目していただけると嬉しいです！ (2020年8月11日 22時) (
レス) id: fab795035e (このIDを非表示/違反報告)
なり。(プロフ) - わぁ!!更新凄く嬉しいです！ コントロール、パワーワードですね。愛する人を、他人を操作、支配できるのか、出来ないのか。次回を楽しみにしてます！ (2020年8月3日 11時) (レス) id: a09df3f8ec (このIDを非表示/違反報告)
かなで(プロフ) - 優羽さん» そう言っていただけると書き手冥利に尽きます。これからも楽しんでいただけるものを作れたらと思います。コメントありがとうございました(^^) (2018年12月12日 14時) (レス) id: 44386e0598 (このIDを非表示/違反報告)
優羽(プロフ) - どのお話も楽しく読ませていただいてます。中でもcase3はリピ読みしてまして、冒頭はクスッと笑えるお話だったのに段々切なくなって涙しました。バッドエンドなのに清々しい。素敵なお話を読ませていただき感謝してます。 (2018年12月1日 2時) (レス) id: 1bf95b0dcc (このIDを非表示/違反報告)
奏(プロフ) - なり。さん» 想像でしかないのですが私の中では、向こう側へ渡った人たちは悲しくてもきっと残された人の幸せを願ってくれると思うんです。願うことしかできなくなってしまうというか…。こちらこそいつもありがとうございます！なり。さんにまた喜んでいただけるよう頑張ります！ (2018年11月27日 14時) (レス) id: 44386e0598 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かなで
| 作成日時：2018年2月9日 12時
