赤色の宝石 ページ10
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10月が終わる頃、
フランスではやっと暖房がつけられるようになってきた。
外は寒いが、暖房が自動でつくようになって来れば、
寒さはさほど感じなくなる。
ゆらゆらと湯気をたてながら、
濃い赤橙の宝石をティーカップに注ぐ。
カラメルのような香りがほんのり漂っている。
そこに真っ白なミルクを注ぎ、
できたのはアッサムミルクティーだ。
半ば強引に部屋から連れ出した彼女に視線を配る。
僕が参加してるサロンから帰ってきた後、
部屋に引きこもってしまったのだ。
突然のことに戸惑いつつも、
こういう時はほっとくのが1番だと考えた。
僕自身も1人で考えてたい時は引きこもっていたため、
他に方法が見つからなかった。
影片のように、
献身的な態度で接することが出来るかといえば
それは難しい気がする。
彼女のことは後にして、
今は裁縫に集中しようと手元を動かした。
けれども集中は続かず、２階に引きこもっているあの子が
気になって仕方がない。
『......紅茶を飲むかだけ聞こう...』
インドの紅茶が手に入ったのもあって、
彼女と一緒に飲もうと思っていたのだ。
だから、、その誘いで、何となく話を聞いてみよう
裁縫道具を片付け、急な階段をゆっくりと登って行った。
Aの部屋に近づくと、嗚咽が聞こえた。
｢悔しい｣
彼女の喉から絞り出した声が耳に届いた。
サロンで何か言われたのだろうか
意地の悪い輩は沢山いるが、
この子はどんなことを言われてしまったのだろうか
芸術家の世界は厳しい
しかし、それ以上に騙し騙されの世界だ
わざと罵詈雑言を浴びせ、激しい激情による成長を促す
そんな人が多い
彼女の絵は素晴らしいものだと僕は思う
僕は思うだけで、
他の輩がどう思うかなんて分からないわけで...
こんなことで、
折れてしまっては勿体ないのだよA...
彼女がそのことに気づいているか、
話してみないと分からない。
単に僕のお節介になったとしても、
聞いてみなければならない。
君の助けになりたいのだよ
『...A 紅茶を入れたのだけれど、飲むかね』
と扉越しに話しかけた。
すると、ゆっくりと扉が開き
涙で崩れた顔が覗いた。
人形はこんな顔をしないから、
物珍しそうに見てしまった。
美しくはないけれど、不快だとも感じない。
むしろ.....................いや。
濡れた頬を袖で拭きながら、
｢飲む...｣
と彼女は答えたのだった。
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蒼也souya(プロフ) - ふわなさん» 感想ありがとうございます。本当に更新してなくてすいません。褒めていただけて嬉しいです！精進していきます…！ (4月5日 18時) (
レス) id: 2dcf8a9402 (このIDを非表示/違反報告)
ふわな(プロフ) - コメント失礼します！言葉選びや表現の仕方が綺麗ですごく素敵です！作者様の無理のない頻度での更新お待ちしてます。 (12月13日 20時) (レス) id: 58ec19c369 (このIDを非表示/違反報告)
蒼也souya(プロフ) - 浪越柊羽さん» 感想ありがとうございます！嬉しいです。優しいお言葉に小躍りしてしまいました。頑張りたいと思います！ (8月27日 6時) (レス) id: 2dcf8a9402 (このIDを非表示/違反報告)
浪越柊羽(プロフ) - 今まで数多くの作品を読んできた中で、この作品が一番のお気に入りです！時間も忘れて何度も読み返してしまいます、、！更新が楽しみです、気長に待っていますね…！ (8月21日 18時) (レス) id: f394f39020 (このIDを非表示/違反報告)
蒼也souya(プロフ) - 星さん» ご感想ありがとうございます！嬉しいです！本当に更新遅くてすいません。本当に申し訳ないです。待っていただけることが何よりもありがたいです！頑張ります！ (2023年3月13日 0時) (レス) id: 34086f5d07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼也(souya) | 作成日時：2021年9月30日 0時
