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心地よい音 ページ15







『〜・・・・・・♪』




あんなに上から目線で言っておきながら、

本当は作りたかっただけなんじゃないだろうか。

鼻歌交じりに、

牛肉の処理をする彼はとても上機嫌だ。

作り慣れた様子で、次々と食材が切られていく。



私の瞼がゆっくりと閉じる。


包丁と板が擦れる音


火が点る音


鍋の中が沸騰する音


料理をする音は何故か心地いい。



暖かい音がする



春の日の昼下がり、子鳥の囀りに耳を傾けて

目を閉じたときの暖かさ。


再び


目をみ開けば、

シェルピンクのふわりとした髪をした彼が

バヂターブルー、

光の加減によってはウィスタリアの瞳を細めている。


ふと、視線を上げた彼と目が合う。







瞬間








私の身体が脈を打った。


「…………あ」


思い出して し、ま、っ、た。

心の、脳みその片隅に追いやっていたモノが

水面張力のように、ギリギリのところ保っていた水瓶が

たった一滴、されど一滴、溢れてしまった。

ドクドクと忙しなく動く心臓に、動揺する。


『…? どうかしたのかね、A』


「いや、なんでもないよ」


わたしの声は震えていた。



恋心と愛情だ。



トリガーは、宗 貴方だよ。

初めて会ったあの日、私は絵を好きになると同時に

あなたを好きになった。

私が描きあげた宗の絵は、

まだまだ未完成なものだったけれど、

あれは君への愛情だった。

美しいものへの愛情。


その後に、描いたものだって

布と真剣に向き合う彼や、マドモアゼルを愛でる彼

そんな貴方が愛おしかった。


コンクールに出した絵は祖母の絵だった。

愛してやまない祖母。


私が絵を描く理由は、

愛情表現だ。

愛情をどうにかして表現しようとした結果の絵だった。



"燃えるような情熱と溶けるような恋心"


祖父が言っていたこととは少し異なるが、

恋も愛に違いない。

自慢の料理→←鍋に火をかける



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設定タグ:斎宮宗 , あんスタ , Valkyrie   
作品ジャンル:恋愛
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蒼也souya(プロフ) - ふわなさん» 感想ありがとうございます。本当に更新してなくてすいません。褒めていただけて嬉しいです!精進していきます…! (4月5日 18時) (レス) id: 2dcf8a9402 (このIDを非表示/違反報告)
ふわな(プロフ) - コメント失礼します!言葉選びや表現の仕方が綺麗ですごく素敵です!作者様の無理のない頻度での更新お待ちしてます。 (12月13日 20時) (レス) id: 58ec19c369 (このIDを非表示/違反報告)
蒼也souya(プロフ) - 浪越柊羽さん» 感想ありがとうございます!嬉しいです。優しいお言葉に小躍りしてしまいました。頑張りたいと思います! (8月27日 6時) (レス) id: 2dcf8a9402 (このIDを非表示/違反報告)
浪越柊羽(プロフ) - 今まで数多くの作品を読んできた中で、この作品が一番のお気に入りです!時間も忘れて何度も読み返してしまいます、、!更新が楽しみです、気長に待っていますね…! (8月21日 18時) (レス) id: f394f39020 (このIDを非表示/違反報告)
蒼也souya(プロフ) - 星さん» ご感想ありがとうございます!嬉しいです!本当に更新遅くてすいません。本当に申し訳ないです。待っていただけることが何よりもありがたいです!頑張ります! (2023年3月13日 0時) (レス) id: 34086f5d07 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蒼也(souya) | 作成日時:2021年9月30日 0時

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