俺たちの姫 38 ページ6
次の日の朝。
いつも通り早朝に中庭で剣の稽古を終わらせたAは、少し伸びをしながら城のやたらと長い廊下を歩いていた。
「んぅ、最近の城は退屈だな………」
最近は誘拐未遂事件のせいでまともに“遊べていない”のだ。
早く解決するも良し、期限が切れて私が動いても良いという許可が降りるのも良し。
誘拐事件なんて、少し面白そうだしな。
狙いは自分かもしれないと言うのにそんな呑気なこと考えていたAは、不意にある部屋から話し声がして立ち止まる。
＿＿＿＿この声……
朝からみんなで談笑とは仲のいいことだ。
邪魔をしては悪い、と少しだけ開いた扉から様子を窺う。
「まぁ、悪くないんじゃないのぉ」
「綺麗ねェ……早く着てくれないかしら♪」
「Simple is bestと言うやつですね」
「おぉ！刺繍が細かいな！」
「俺としてはもう少し肩口を開けても……いてっ、なんで叩くのセッちゃん……」
どうやらKnightsの5人で何かを見ているらしい。
自分だけ除け者にされている事実に多少の寂しさを覚えて、我慢しきれずに扉を開ける。
「おはよう。お前ら何を見てるんだ？」
覗き込むようにしているKnightsに尋ねると、Aに気付いて顔を輝かせた嵐がうふふ、と身体をくねらせる。
「おはよう、姫様♪見て頂戴っ」
なんでそんなに上機嫌なんだ。
そんなAの疑問はお構い無しに、嵐は“ある物”を手に持ってバサッと広げる。
それを映した瞬間、驚きでAの目が丸く見開かれる。
＿＿＿＿＿それは、紺の美しいドレスだった。
店で見たデザイン案とほとんど同じ、くるぶし丈の大人しめのドレスではあったが、
決してドレスの品を損なわない程度の細やかな刺繍が至る所に施され、
夜会用のドレスということもあるのか
宗の好みである『首、手首、足首』の三首を完全に閉めるタイプではなく
肩口や背中は、多少色気を感じさせる程度に開き、袖や裾、腰のリボンにはシースルーの素材が使われていて、軽くて清楚な印象を受ける大作であった。
「これ、は………」
思わず顔が引き攣る。
まさか宗のやつ、これだけの大作を一日で仕上げて来たのか………？
また後で微調整のために城に来るであろう店主を思い浮かべて目眩がする。
…………張り切りすぎだ………。
どこからか「カッカッカッ……♪」と心底楽しそうに高笑う声が聞こえた気がした。
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のん！ - この作品大好きです！！更新楽しみにしています。頑張ってください！ (2020年11月7日 10時) (
レス) id: c2d5ae3557 (このIDを非表示/違反報告)
のん - とっても面白いです！続きがとても、楽しみです！ (2020年10月14日 4時) (レス) id: 49147fff59 (このIDを非表示/違反報告)
餅すけ - 続きをすごく楽しみにしています！！更新は大変だと思いますが。頑張って下さい！！応援しています！！！ (2020年8月6日 21時) (レス) id: e704f87021 (このIDを非表示/違反報告)
リオン - 更新大変だと思いますが、無理のない範囲で更新頑張ってください。この作品大好きです！！！！！ (2020年8月6日 21時) (レス) id: e704f87021 (このIDを非表示/違反報告)
ゆる - とっても面白くて、続き楽しみにしてます！ (2020年2月14日 4時) (レス) id: 6241f35e59 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：マヨネーズ | 作成日時：2018年12月22日 17時
