俺たちの姫 44 ページ12
オトヌからの招待状が来たのはその次の日のことだった。黒い封筒に紅い薔薇モチーフの封。
中に入っていた黒地の紙には、白のインクですらすらと日時や場所などが事細かに記されていた。
「……遂に来たか……」
ぐで、と執務机に突っ伏すと見かねたあらしから「しっかりしてちょうだい」と声がかかる。
「『満月の夜、“
相変わらずあの国の書面は堅いな」
ぴらぴらと片手でその招待状を弄ぶ。不意に立ち上がってうろうろすると、逃げ出すのかと思われ、つかさから怒られてしまった。
とにかく暇だ。
今日の執務は既に終えてしまったし、急ぎでやることも無い。遊ぼうにも身の安全を考慮して最低限のことしか出来ないのだ。
＿＿＿折角今日は全員揃っているというのに。
最近ではみんなの捜査のおかげか 誘拐未遂が行われた報告がない。その為、今日は一時捜査を休止しているのだ。
「そうだ。街へ行こう」
「行かせませんよ」
思いついたように顔を上げると 即座に反応したのはつかさ。さっと窓の前に移動して私を外に出すまいとする。
「何でだ？今日の執務は終わらせただろう？」
「あなたの身に何かあっては困るからです！」
「ならみんなで行けばいいだろ」
「はい……？」
「今日はみんなで街へ行こう。優秀なお前達が居てくれるなら私は安全だろう？」
にっこり挑発的な笑みを浮かべると、つかさはうぐっと言葉に詰まる。騎士として 自分が付いていれば安全だと言えないことは一種の敗北だからだ。
「わははっ☆ここまで言われたら行くしかないな、スオ〜」
私と同じく暇だったらしい れおは、ぱぁっと顔を輝かせてそう言う。大方、つかさが私に言いくるめられるのはわかっていたのだろう。
「ふふ、なら決まりだな。みんな、支度しろ
＿＿＿＿出掛けるぞ」
＿＿＿＿＿＿＿
＿＿＿＿＿
「いらっしゃーい」
「オトヌ産リンゴが安いよ〜」
「毎度あり！」
商人たちの声が辺りに響く商店街。
城下から少し離れたプランタン随一のここは私がよく買い物に来る場所だ。もちろん身分は隠してだが。
「おや、Aちゃん！久しぶりだねぇ」
「おじさんこんにちは。最近忙しくて」
「Aちゃん、今日はどうしたんだい？男の子を何人も連れて！あ、そうだ。いい苺が入ったんだ。お安くしとくぜ？」
「本当ですか？1つもらおうかな」
このやりとりが、私がこの国を好きだと実感する瞬間である。
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のん！ - この作品大好きです！！更新楽しみにしています。頑張ってください！ (2020年11月7日 10時) (
レス) id: c2d5ae3557 (このIDを非表示/違反報告)
のん - とっても面白いです！続きがとても、楽しみです！ (2020年10月14日 4時) (レス) id: 49147fff59 (このIDを非表示/違反報告)
餅すけ - 続きをすごく楽しみにしています！！更新は大変だと思いますが。頑張って下さい！！応援しています！！！ (2020年8月6日 21時) (レス) id: e704f87021 (このIDを非表示/違反報告)
リオン - 更新大変だと思いますが、無理のない範囲で更新頑張ってください。この作品大好きです！！！！！ (2020年8月6日 21時) (レス) id: e704f87021 (このIDを非表示/違反報告)
ゆる - とっても面白くて、続き楽しみにしてます！ (2020年2月14日 4時) (レス) id: 6241f35e59 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：マヨネーズ | 作成日時：2018年12月22日 17時
