嫌いな人【月永レオ】

告白 ページ42

「……へぇ、で？」



一気に不機嫌度が増す月永さん。


『お前本当に聞いたのか』という呆れも半分混ざっているのだろう。




「伝言を、頼まれました。

“俺は、あんたをいつでも待ってるよ。”と……」


「ふぅん。……ほんと、忠実な“騎士”だよなぁ……

壊れた主人(王さま)をアイツはいつまで待つんだ？」




自傷気味にくつくつと笑う月永さんに密かにショックを受ける。


………また、そんな顔………





「で？お前はその伝言を伝えるためだけにそんなに息を切らしておれを探してたのか？

お人好しは後で自分の首を締めるぞ？」




話す隙なんか与えないとでも言うように心なしか早口で捲し立てる月永さん。


反論はできない。


お人好し、とは少し違っても人に尽くして報われなかったのはこの人の体験談だ。





「……それも、あります」


「……まだあるのか？」


「はい。私、は……」




思い出すのは妹からの言葉。



『そんなの簡単じゃない。


さっさと伝えて、砕けちゃえばいいんだよ！


無理だ、って本気で思ってるなら悩んでる時間は無駄になる。

だってどんなに考えても無理なんだもん。


てか、“今は話したくない”って言われたんでしょ？なら明日は話してもいいじゃない？


私、お姉ちゃんが元気ないのは嫌だもん。


あ、振られて泣いたら私が慰めてあげるからね！』




優しい子だ。


あの子にこれ以上心配をかけないためにも、




──────これで終わらせる。




決心してもやっぱり怖いものは怖いもので、泣きそうになりながらもなんとか耐える。








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「あなたが、すき、なんです……っ」








パキン、と私の中で何かが壊れる音がした。

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