送ります ページ23
案内された公園のベンチに座ると、あの子がハンカチを濡らして持ってきてくれる。
「あの、これ使ってください」
「……本当に、わざわざありがとうございます」
「いえ！自分が好きでやってる事なので！
……それに、わたしのせいでもありますから」
申し訳なさそうに眉を下げる女の子。
そう言えば逃げたとか何とか、
「私、何か怖がらせちゃいましたか…？」
後ろから足音がするのは確かに怖い。
しかし、この子の用心するような態度はどこかそれとは違っていた。
怖がらせてしまったのなら申し訳ない。
「い、いえ！違うんです…！
……最近誰かにつけられてる気がしてて……それで少し、神経質になってしまって……ごめんなさい」
あまり人の顔を見て話すタイプではない私は、そこでようやく女の子の顔をはっきりと見つめる。
幼さも残しながらもかわいい、綺麗な顔立ち。
ストーカーなどの可能性は否定できないほどだ。
女の子は私の膝に絆創膏を貼り、立ち上がった。
「本当に、ありがとうございました。
……じゃあ、これで」
辺りはだんだんと日が落ちて暗くなっている。
女の子が悩むストーカーらしき人の存在。
そんな話を聞いてこの子をひとりで帰すのは気が引ける。
……こんなの、柄じゃないのに。
「……あの、家は駅の方ですか…？」
「えっ、あ、はい」
「…もし、その…つけられてるのが気になっているのなら途中まで送ります、よ？」
駅に行くついでに、と付け加える。
…返事がない。
やっぱり気持ち悪かったか。他人だもんな。
「ごめんなさい、忘れて、」
「いいんですか？！」
「…え？」
「実は今日、お兄ちゃんに迎えに来てもらおうと思ってたんですけど、携帯が繋がらなくて……不安だったんです。
でも、女の人がいてくれるなら」
ふわっと柔らかく笑う女の子。
やっぱりなし、はもう使えないか。
そして私たちは駅の方へと向かって歩き出した。
──やめておけば良かった。
私がなけなしの良心を後悔するまであと少し。
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結 - 完結おめでとうございます!とても面白い作品で涙が止まりませんでした。これからも頑張ってください！ (2021年6月20日 6時) (
レス) id: de81aa094a (このIDを非表示/違反報告)
美玖 - すっごく面白いです！いい言葉が出ないのでこの気持ちを伝えるのが難しいですが、私はすごく好きなお話です (2021年5月8日 21時) (レス) id: 9f95d8689d (このIDを非表示/違反報告)
美夜 - 初コメ失礼します。完結おめでとうございます！とても面白い作品でした！是非、お二人のその後が読みたいです！ (2019年2月26日 2時) (レス) id: 671397f4b4 (このIDを非表示/違反報告)
飛鳥(プロフ) - 続きを…書いて欲しいですっ！！！！とても面白かったです！！！ (2019年2月26日 0時) (レス) id: e991a9fa95 (このIDを非表示/違反報告)
コユキアメ(プロフ) - この作品見つけたときからすっごく好きです！レオくん推しとしては続きを書いてもらいたいですm(_ _)m (2019年2月25日 8時) (レス) id: f7c062f730 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：マヨネーズ | 作成日時：2018年10月8日 17時
