桜の匂い ページ47
「……ぇ……?」
自分のものとは思えない、間抜けで弱々しい声が喉の奥から漏れる。
気持ちに応えられない、ずっと友達のままで、
最悪の場合は関わりを断ち切らなければ。
そう、覚悟していたのに。
『好きだ』?
何かの間違いではないだろうか。
「“アイドル”は可愛い子と付き合うべき、」
「“おれ”が選んだのはお前だ」
思わず息が止まりそうになる。
いや、息が出来なくなるほどに───
────嬉しい。
関係を断ち切る覚悟?
そんなもの、ありはしないじゃないか。
こんなにも私の中は独占欲にまみれているというのに。
「本当に、私で、」
「お前がいい。───だから泣くなって」
泣き虫だなぁ、なんてケラケラ笑う月永さんを威力はないとわかっているが、睨んでみる。
私がこんなにも泣いてしまうのはあなたのことだけなのに。それをわかっているのだろうか。
「何回でも言ってやる。……好きだよ。
お前の気持ち、まだ変わってないか?」
「……そんな短期間で変わりません」
「なら両想い、だなっ!」
本当に、あぁ、本当に。
心底嬉しそうに笑って腕を広げる月永さん。
その行動が示すことを理解して、おずおずとその胸に飛び込んでみる。
「───A、」
「はい、───レオさん」
サァ、と桜の樹が風に揺れる。
しばらく見つめ合ってから、ぎこちなく重なった唇。
────初めてのキスは桜の匂いがした。
〜fin〜
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結 - 完結おめでとうございます!とても面白い作品で涙が止まりませんでした。これからも頑張ってください! (2021年6月20日 6時) (レス) id: de81aa094a (このIDを非表示/違反報告)
美玖 - すっごく面白いです!いい言葉が出ないのでこの気持ちを伝えるのが難しいですが、私はすごく好きなお話です (2021年5月8日 21時) (レス) id: 9f95d8689d (このIDを非表示/違反報告)
美夜 - 初コメ失礼します。完結おめでとうございます!とても面白い作品でした!是非、お二人のその後が読みたいです! (2019年2月26日 2時) (レス) id: 671397f4b4 (このIDを非表示/違反報告)
飛鳥(プロフ) - 続きを…書いて欲しいですっ!!!!とても面白かったです!!! (2019年2月26日 0時) (レス) id: e991a9fa95 (このIDを非表示/違反報告)
コユキアメ(プロフ) - この作品見つけたときからすっごく好きです!レオくん推しとしては続きを書いてもらいたいですm(_ _)m (2019年2月25日 8時) (レス) id: f7c062f730 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:マヨネーズ | 作成日時:2018年10月8日 17時