Per mare per terram -アズカバンの囚人- (ページ37)

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37.逃げ出した鼠ページ37

その日の夜―

「ピーター・ペティグリュー…？」
ハリーは同部屋の生徒達が寝静まった頃、
双子から貰った忍びの地図を見ていた
すると、死んだ筈の人物の名前が浮かび上がる

ﾄｯ

ハリーはそっと部屋を出て、その人物の元へと歩き出す

「明かりを消してくれ」
「こっちは寝てるんだぞ」
壁に掛かっている絵画達が
杖を光らせているハリーに口々に文句を言う

「ごめんなさい…」
ハリーは謝りつつ、忍びの地図をまた見る

「ペティグリューが僕に近づいてくる…」
自分を示しているところの近くに
どんどん近づいて来ているのを見て
ハリーは不安で心拍が上がっていく

ｳﾞｩｩ

「フィデス⁉︎」
その時、ハリーの背後からフィデスが唸り声を上げて現れた

そして、地図を見るとペティグリューは
フィデスが追いかけて行った方向へと
逃げるようにして向きを変えていた

「何だったんだ…」
「君こそ何をしているのかね？」
大きな声を出してしまったハリーは
夜の巡回をしていたスネイプ先生に見つかってしまった―

一方、スリザリン女子寮―

『フィデス、おかえり』
本を読んでいたクロウの元にフィデスが帰って来た

ﾄﾝｯ

自分の記憶を見ろ、と言わんばかりに
ベッドに頭を置くフィデス

『何かあったのね？』
そう言い、クロウはフィデスの記憶を見る

今朝いなくなったと聞いていたスキャバーズが
中年の小柄な男性へと姿を変えた事
そして、ハリーがある羊皮紙を見ながら
「ペティグリューが近づいて来る」と発言していた事
が見える―

『(あの羊皮紙は確か…忍びの地図だったかしら)』
クロウは双子が何やら楽しそうに見ていたものを思い出す
ハリーにあげたのだろうか、と考える

『(ってことは…確定ね…)』
スキャバーズはピーター・ペティグリューが
動物もどきの時の姿なのだと確定した

『(でも逃げ足が速すぎるわね…
しかも、鼠というのが厄介だわ)』
フィデスが入れない所に逃げられたら追えないもの、と
クロウは頭を悩ませる

『フィデス、良い子ね。助かったわ』
そう微笑みながらフィデスの頭を撫でる
フィデスは満足そうにベッドに乗り、寝始める

『(深追いしない事、傷つけたりしない事
この二つを守りつつ
フィデスに監視し続けてもらうしか無いわね…)』
私が行動すると目立ちすぎるから、と
フィデスを撫でながら思考を巡らせるクロウだった―