Per mare per terram -アズカバンの囚人- (ページ23)

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23.気付きページ23

その日の夜―

ｽﾞｲｯ

「何が見えたの？」
「暗いのだけじゃ無かったんだよね？」
ボガートの話をしていた3人
パンジーとアミーはクロウに詰め寄る

『…死体だったわ、凄く傷付いてたの…
お父様、お母様、ルーナ、フィデス、と…ドラコの』
あまり気持ちの良いものではないのだろう
表情を暗くして言うクロウ

「大切な人が傷付くのが1番怖いって事ね」
クロウらしいわね、とパンジーは言う

「クロウが靄から出てきた時、心配したんだから！」
『心配させてごめんなさい
でも、もう大丈夫よ。受け入れたもの
そうならない様に頑張るだけよ』
アミーは頬膨らませ、怒っている
その様子を見てクロウはｸｽｯと笑い、伝える

「それで、あの後どうしたのよ」
パンジーはそう意地悪気に聞いてくる
あの後、とはドラコと共に教室の外へ出た時の事だ

『ｯ‼︎えっと…』
「クロウ、顔真っ赤だよ〜」
あの時のことを思い出し、顔が赤くなるクロウ

『ドラコが慰めてくれて、それで安心して寝ちゃって…』
クロウには珍しく小さな声で言う

「「へぇ〜」」
アミーとパンジーは声を揃え、なんだか楽しそうだ

「ねぇ、クロウ
今から私が言う条件に当てはまった人教えて？」
『分かったわ』
パンジーが何を始めるのか分からず、とりあえず頷くクロウ

「一緒にいるだけで楽しい、離れると悲しい
そばに居ると心地良くて、安心する
その人が笑顔になると嬉しい
時々、胸が締め付けられる様な感じがする
どう？誰だった？」
パンジーにそう聞かれ、クロウは考える

一緒にいて楽しいのはいつもの4人
離れて1番悲しかったのはドラコ
一緒に入れなくて悲しかったのを覚えている
そばに居ると心地良くて、安心するのはドラコだ
現に今日がそうだった
そして、ドラコの笑顔は優しくて素敵だ
時々胸が締め付けられそうになる…？

―「…いるよ」―

彼に好きな人がいると知った時、
今まで感じたことない感情になったのを思い出す

『…ドラコよ』
そう、どの条件にも当てはまったのは彼だった

「クロウ、好きな人、いるじゃない」
「ドラコだったんだね！」
2人は自分のことの様に嬉しそうにしている

『ドラコの事が好き？私が…ｯ⁉︎』
そう考えた瞬間、耳まで赤くなるのがわかる

『(私、ドラコが好きなんだ…
でも、ドラコは別の好きな人がいる…)』
恋に気付いた瞬間、失恋を知ったクロウ

『(ドラコが幸せなら、それが良い)』
ドラコの恋を応援する事に決めたクロウだった―