Per mare per terram -アズカバンの囚人- (ページ39)

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39.裏切り者① ページ39

ハグリッドと別れ、4人は小屋の外へ出る―

『ウィーズリー、ちょっと良いかしら』
「なんだよ」
決心した様な表情のクロウの言葉に3人ともが足を止める

ｼﾞｯ

「ぁ゛ｯ‼︎噛まれた！」
スキャバーズがいきなりロンの指を噛んだのだ

『こら、待ちなさい！』
「スキャバーズ‼︎」
クロウとロンは逃げるスキャバーズを追い掛ける
ハリーとハーマイオニーもその後を追う

ﾀﾞｯ

「戻って来い！」
必死にスキャバーズを追いかける2人

ﾊﾞｯ

「スキャバーズ！なんで僕を噛んだりしたんだ！」
『ウィーズリー、その鼠を渡して』
やっとの思いでスキャバーズを捕まえたロンに
杖を向けて、真剣な顔つきで言うクロウ

ｻﾞｯ

「ハリー！あの木…」
追いついたハーマイオニーとハリーは
2人の後ろにある木を見て立ち止まる

「危ないぞ…クロウ！ロン！逃げろ！」
そう、後ろにあったのは暴れ柳だった―

ｽｯ

「ｯ!?ハリー！ハーマイオニー！逃げろ！」
『見つけ出したのね…』
だが、クロウとロンは2人の後ろに視線を送る

そこにいたのは、黒い大きな犬だった―

ﾜﾝｯ‼︎

その犬は吠えたてながらこちらへと走って来る
そして、スキャバーズを抱いているロンに襲い掛かる

ｳﾞｩｩ

『フィデス‼︎
…ｯ⁉︎ウィーズリーをどこへ連れて行くの⁉︎』
その後を追う様に現れたのはフィデスだった

ｽﾞｽﾞｽﾞ

「ハリー‼︎」
黒い犬はロンの片脚に噛み付き
そのまま、木の根の方へと引きずって行く

ｼｭﾀｯｯ

『フィデス、追って』
クロウはフィデスの背中に乗り、その後を追って行く

ｷﾞｷﾞｷﾞ

残されたハリーとハーマイオニーは
暴れ柳を避けつつ追いかけなければならない―

ﾋｭｯ

「！？」
枝に捕まり、振り回されるハーマイオニー

「ｯ…」
それを避けるものの、眼鏡を飛ばされて
視界が定かではなくなるハリー

ｶﾞｻｯ

「あっ、あった」
手探りでやっと見つけた眼鏡をかけるとやっと視界が定まる

ｶﾞｼｯ

「えっ⁉︎」
いきなり、ハーマイオニーに胸ぐらを掴まれ、
ハリーは宙づりのまま振り回される

ﾌﾞﾝｯ

そして、枝から振り落とされ
ちょうど、みんなが入って行った根元の穴へと落ちる

ﾄﾞｼｬｧｯ

「いｯたぁ…」
あまりの勢いに顔から着地するハリー

ﾄﾞﾝｯ

「ｷｬｯ…ごめんなさい、ハリー…」
ハリーの上に落ちて来たハーマイオニー

「どこに繋がってると思う？」
「きっとあそこだ」
違うと良いんだけど、と2人は奥へと進んで行く―