俺でも日々樹渉になるのは諦める

傷を完全に消す方法は忘れることだけ｡俺を忘れてくれませんか ページ32

………。


…今世で誰かに拳骨をくらったのは初めてだ。

嘘でしょ、英国風美青年がボサボサ髪で汚れた白衣の人から頭をポカッとはたかれるの誰か脳内で想像できる？確かに俺が悪かったけど。

でもあれはね？理由あったし？
今度、動物役を演じることになった彼奴のためじゃん、それだけじゃん。
確かに｢北斗くんも一緒ですから♡｣とか言って騙して実はデートって言わなかったのは悪いけど。

でも罰は受けました！！
鉄拳ひとつ！否、転校生からのも合わせてふたつ！！
…ミステリーステージとかいう新しいドリフェスの手伝いとか、宣伝とか。
なんでも派手にするのが俺ではあるものの、上着無しで気球での宣伝はヤバいな。
こんな新年早々に銀鳩とばせて,花巻き散らかして,チラシばら蒔いて。
他人のためにここまでするの久々だよ、寒い。


そんな思いをおくびにも出さず空を迂回していたら、ふとRa＊bitsの一年を見付けた。
ぱくぱくと口をあけ、吃驚仰天してる其奴等を見れば、それほどの大事じゃなかったのかとホッとしてしまった。…否駄目だ、暫く安静にするのが普通なんだから、安心するべきじゃない。

なんていうか…昔は俺も渉の行動理解できなかったのに、寧ろ渉と同じ行動することが普通になってしまってる。
…怖いなぁ、昨日の天才は今日の普通…。


渉｢Amazing！お待たせしましたっ、あなたの日々樹渉です…☆｣

友｢誰も待ってないっ、呼んでもいないぞ！引っこめ〜っ、帰れ〜！｣


辛辣な言葉だというのに、すっかり慣れてしまった俺はその言葉を無視して其奴に近付く。身を乗り出してつっこむのが面白くて、必死だなぁ、北斗は呆れた目するのに。なんて微笑ましくなる。反応してくれるの本当に嬉しい、俺。
俺も気球から身を乗り出して、その場へ降り立つ。もはや人技じゃない、とか声が聞こえるのをまた無視した。

以前の謝罪。自分が何をしていたか。
それを伝えるのになんとも遠回しになるけれど、それもあんただろうと聞いてくれるお前は好きだな。

だからこそか、最近の疲れのせいか、渉になりきれてない慣れか。…俺について知ってほしかったからか。
自分の情報を喋りすぎたのかもしれない。

飽きやすいって、冷たい目で言った…他人に言うのは初めてだっけな。


渉｢アイドルは若年齢化が進んでおりますが、役者は死ぬまで役者です！
私は｢日々樹渉｣を引退しません！生涯現役っ、いいえ骸骨になっても躍り狂いましょう……☆｣


…ひいた目で見ないで？

人物を知れば知るほど真似しにくい｡細かいところまで真似しなくてはと思うから｡→←悩むから大人になる｡対して彼奴は悩まないから子供だ｡

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