俺でも日々樹渉になるのは諦める

待たされた贈り物,届いた日は傷んでる｡ ページ26

てれってってー。

さぁて皆さん、クリスマスです！
夢ﾉ咲学院という夢のお国で認められてる年内最後の行事だよ、きっと！
SSは世界中で行われるので、きっとスタフェスが最後！



そうそうはしゃぎながらステージを駆け回れば、姫君と英智がボーッと観客席を見渡してる様子が見える。
それを眺めて俺もボーッとしてれば、執事が｢日々樹様？｣と声を掛けてきた。


渉｢──…温かさ、親切、そして友情は、世界中の人がもっとも必要としているものです。
…それらを与えることのできる人は、決して孤独にはなりません。

親切心で肌を擦り寄せあって、あたたまって。そうして友情をうませること。
それが気軽に出来る日だと思います｣



それが、この学院のクリスマスプレゼント。

平等な日だからこそ、今日は誰もが物語の主人公なんだろう。劣等をつけないで、キラキラ輝いて手を繋ぎあって笑い合う物語の。

だから、皆プレゼントを貰える。
…寒い日だよなぁ、今日は。

今日だけはさ、一人寂しく街を歩いて満喫してるその他の人間を怨めしく思わないでいいと思うんだ。寒くならないでいいと思うんだ。
夢ﾉ咲学院に居る人間限定だけどね、そんな贈り物渡せるのは此処だけだから。


俺、本当に日々樹渉になって良かったって思うよ。そうして、夢ﾉ咲学院に入って良かったなぁって初めて思った。


夢を一度捨てて、二度目もう一度チャンスが来たら、本当に必死になりすぎて方法が卑怯になるんだ。取り敢えず、真っ直ぐにだけ進めたらいいんだけどね。でも真っ直ぐが一番難しい。
夢への自信のために右へ行かないこと。
実現する力のために左へ行かないこと。


取り敢えず、感謝したいな。渉に"有り難う"って伝えないと。
ぐっちゃぐちゃで汚い親交だけどね。

それでも、俺を育ててきてくれた人だ。隣で何でもない顔して、日々樹渉を育ててきてくれた。

やっと…今日この日に、あんたからの贈り物、ちゃんと身に付けてみたいって思えた。

心の準備がやっと出来たんだよ、ちゃんと彼奴自身になれたんじゃないかなって思うんだ。


それほど長い時間お預けしないと心臓バクバクしそうなプレゼントだけどさ。クリスマスプレゼントってことで、そうも大きいプレゼントなんだろう、そういうことにしといてほしい。



北斗、俺、お前のプレゼントも嬉しいよ。

"なんの面白味もない唯の天才"がさ、世界変えるなんて息巻いた本当のヒーローで、そんな物語持ってるんだってちゃんと知れたから。

嘘は雪玉の様で,長い間転がす程大きくなる→←人間が平等な場所がひとつある｡死ぬ場所が｡死地では皆,零である

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