今も必要なものって,生まれた時に持ってる。 ページ18
…side
赤子は、愛されていた。
丸っこい瞳に自分の姿が映ったのが嬉しいのか、耳を赤くして照れて…それを隠すよう頬をつついて、愛らしいと声にした かの母親。
しかしながら、今はどうか。
逞しくなった体つきに、もう手をまわす気は起きなくなっただろう。最早,顔を見ることさえ難しくなって、たまに見る顔は全て青かった。
「なぁ、お前大丈夫かよ。昨日凄ぇうなされてたけど。」
と、友人は此方を見て言いそうにしていたけれど…気を遣ってるのか、何も言わなかった。
それに、笑うことしか出来なかった。
…そんな過去の話。
今の自分には、到底どうでも良かった筈。
★☆
貴「いいよなぁ、双子って!」
おもちゃ屋さんのオープニングライブ。
何処ぞの王子だとか兵隊だとかの玩具をモチーフにした楽しげな衣装に袖を通し、俺はそんな気持ちで2winkに拍手喝采をおくっていた。
勿論、声は最小限にしているが。
遺伝子とかそんな小難しいものあってこそじゃないと、そんなピッタリ似た動きは出来ないのだろうか。ああ,羨ましい。
ムカつく、妬ましいなぁ。
俺がこれだけ努力して渉になってるのにさ、アレ等は高々同じ時期に同じ場所から生まれただけで,本当にそっくりなんだから。
…まぁ、知ってるけどね。
そういった「ちまちました努力」とかよりも、「必然的,少数にしか成し得ない奇跡」の方が凄いんだってこと。
だからこそ、在り方を否定されてるみたいで嫌いなんだよ。
ひ「日々樹先輩!このステップのところなんですけど,やってみてくれませんか?」
渉「えぇ、勿論ですよ。なんなら貴方方の得意な動きを取り入れて…──」
…集中してんなぁ,葵。
汗を拭って真剣に話聞く姿、本当にブラコンなのが勿体無い。
双子には、俺の芸の事を誉められたりする。パフォーマンス能力が高い人に言われるのは嬉しかったけれど、少しばかり胸が痛かった。
まだ、足りないんだよなぁ。
時間をあければ,段々と傷が酷くなる。
別れ道は、右と左かなんて小さな差だけど…歩き進めれば、遠くなってしまう。
俺だけ薄暗い路地を歩かされて、あったかい思い出から遠ざけられている。
後ろから、誰かが追いかけて…そっちじゃないだろって手をひいて,そうなることを望んでる。
じくじくと胸が音をたてて、いつかみたく俺は呟いたのだ。
「忘れて、ほしい。」
(そうして、彼なんて居ないって言って)
(なら俺も自分の事忘れれるから)
信念や価値観を犠牲にし成功しても本当の勝利といえない→←井の中の蛙大海を知らず。されど空の高きを知る
230人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「あんスタ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
詅(プロフ) - 真響さん» ぜひよろしくお願いします!もう本当に貴方様の日々樹渉解釈に尊敬しかなく…!! (2017年12月18日 19時) (レス) id: 1f05f5b54d (このIDを非表示/違反報告)
真響(プロフ) - そう言ってもらえて嬉しいです…!今後、更に暗くなります。怪盗イベでの未だに少年呼びな真白君との話,友人君,店主さんとの関係,北斗君への思いに卒業後の話…"日々宇"が存在する前提での話ですが、それでも良ければ小説に入らないぶんボードで語りましょう…! (2017年12月17日 22時) (レス) id: 5066b17b34 (このIDを非表示/違反報告)
詅(プロフ) - 真響さん» 楽しみにしております!何ならボードとかでもいいのでもう本当に語ってほしいです…!貴方様の日々樹渉解釈に悶えるばかりですので! (2017年12月17日 22時) (レス) id: 1f05f5b54d (このIDを非表示/違反報告)
真響(プロフ) - 詅さん» 恐れ入ります、そんな感じです…。もう本当に、ここで語りたいけども到底250字じゃ足りないので、明日の更新で語らせてもらいます…! (2017年12月17日 21時) (レス) id: 5066b17b34 (このIDを非表示/違反報告)
詅(プロフ) - 読んでいて切なくなりました…。私個人の解釈ではありますが、誰にも気付かれないこと前提で行動していたけれど、それでもやっぱり気付いてほしいと願うのは、日々宇くんの本心なのでしょうかね…?この物語の本筋と解釈が違うのなら申し訳ないです! (2017年12月17日 20時) (レス) id: 1f05f5b54d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:真響 x他1人 | 作成日時:2017年11月30日 18時