2nd【マギ】煌帝国の不思議な第一皇女様？ (ページ10)

今日:1 hit、昨日:9 hit、合計:496 hit

episode58 紅覇side ページ10

紅覇「ねぇ、明兄〜、A姉は〜？」

紅明「今は会議に出ているはずです。紅覇…書庫で寝転ぶのは辞めなさい」

紅覇「えぇ〜」

紅明「白A殿に何か用でもあるんですか？」

紅覇「そりゃあもちろん、一緒にいられなかった時のこと話すんだよー
約束したしぃ」

紅明「しかし前にも話した通り、白A殿には昔の記憶はありません」

紅覇「話したら思い出すかもしれないじゃん」

紅明「その可能性がない訳では無いですが、あまり目立った行動はしないように」

紅覇「わかってるよー」

再会した時は普通だったのに、次の日にはA姉は昔の記憶のほとんどをなくしていた。

僕たちのことは分かるのに、出会った時の話とか、昔の思い出のことはさっぱり。

それに最近は全然時間合わないしぃ…

紅明「昔はよく白A殿に髪を結っていただいたものです」

紅覇「そんなことしてもらってたの？」

紅明「身だしなみは常に整えなさいと」

紅覇「確かに明兄は昔もじゃもじゃしてたもんねー」

紅明「初めてあの方に会った時のことはずっと忘れられません…」

明兄はペンを動かしていた手を止めて天井を見上げていた。

初めてA姉に出会った時……
僕も忘れてないよ。

だってあの日、僕は初めて“美しい”と思ったんだ。

炎兄と明兄と初めて会った次の日、部屋にA姉が入ってきたんだ。

ﾊﾟｧﾝｯて扉が開いて、扉の向こうから太陽の光がさして、綺麗なシルエットが見えた。

暗かった部屋が急に眩しくなって僕は目を細めたんだ。

それで、引き寄せられるように伸ばされたその手を掴んでみた。

貴『さあ、いらっしゃい。これまで知らなかっこといっぱい教えてあげるわ！』

A姉の笑った顔は本当に綺麗だった。

握った手は温かくて、僕は前に進み始めたんだ。

兄たちの武を見て憧れるようになった

兄たちのように強くなりたいと思うようになった。

夜には寂しくてA姉の布団に潜り込んだ。

貴『紅覇？ふふっ…眠れないの？ちょうどよかったわ

私も眠れなくて困っていたの、一緒にいてくれるかしら』

紅覇『いーの？』

貴『もちろんよ。さあ、おいで』

嘘だとわかってた。

でも布団の中は温かくてA姉の匂いに包まれてた。

A姉…僕ね、A姉みたいに
どんな人でも受け入れて、認めてあげられような武人になるって決めたんだ。