episode59 玉艶side ページ11
玉艶「白A」
貴「はい、母上」
玉艶「最近、紅炎や白瑛達があなたに何らかの探りを入れているようだわ」
貴「なぜでしょう…？
そういえば、先日のバルバッドの騒動と私が関係しているとも疑っているような様子でした」
玉艶「ふふっ」
貴「あの…母上、私はなにか変なのでしょうか？」
玉艶「変？」
貴「私には目覚める前の記憶がはっきりしません…
弟や妹たちの名前や情報は分かるのに…
彼らは昔の私を求めています。ですが、私にはそれが分かりません」
玉艶「仕方ありませんよ、白A
あなたは長い間昏睡して、記憶の問題が起きているだけ。
生きているだけでも奇跡なのよ」
貴「…私がここにいるのは、母上たちのおかげです」
玉艶「そうよ。
でも変に疑われていては私も納得いかないわね
私の可愛い娘が疑われていては気分が悪いわ」
貴「ですが、どうしたら…」
玉艶「疑われないよう、一緒に過ごす時間を増やしなさい。
記憶がなくてさぞ苦しいでしょう。
ゆっくり思い出せばいいの。
白A… あの子たちの求める人物になってみればいいじゃない
そうすれば、記憶も戻るかもしれないわよ」
貴「分かりました。やってみますわ、母上」
白Aは私に一礼をして出ていった。
神官「玉艶様、よろしいので？」
神官「初めは弟妹たちに近づけないようにと…」
玉艶「構わないわ。どんなことがあろうとも彼女の記憶が戻ることはありません」
白Aは記憶を失いながらもよくやっているわ。
着々と“器”ができ始めている。
“あの子”が白Aの中で目覚めている
これは良い事。
“あの子”は白Aの体の中にいる限り、私たちの思い通りになる。
もちろん自我を洗脳することは出来ないけれど、選ぶのは白Aですから。
玉艶「でも、あの子供たちに邪魔をされては困る
それに白Aの気も紛れるでしょう
あの子にまでこちらを疑われては、思わず殺してしまうかもしれないわ
ふふっ…
あの子から少し距離を取りましょう。」
神官「かしこまりました、玉艶様」
記憶は戻らないわ
戻るのは、“我らが父”をお迎えした瞬間よ。
それまでにあの子を黒く染めるため…ちょうどいい機会。
せいぜい記憶が戻ると信じてもがけばいいわ
そして、自分を失って“あの子”に全てを委ねてしまえばいい。
玉艶「待ちましょう、その時を」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 11人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：猫まる | 作者ホームページ：
作成日時：2024年2月20日 8時
