*俺はどうすればいいんだ【ベトside】 ページ38
演奏を小娘に披露して一夜が明けた。
俺はついたホテルのベランダで考えを巡らせる。
俺の渾身の思いを込めて奏でたあのソナタ。
小娘にその思いは伝わっているのだろうか。
「ルー君。」
「なんだ」
ついて早々にベットにダイブしたヴォルフの声が隣からした。
いつの間にここまで来たんだ。
潮風を受けてヴォルフの長いピンク色の髪が揺れる。
「歌苗、どう思ってるんだろうね。僕達の演奏。」
ヴォルフにしては沈んだトーンの声に少し驚きながらも、
「さあな」
と返す。
するとヴォルフはふふっと笑い声をもらした。
「どうした、なにかあったか?」
さすがに心配になってきた。
ヴォルフがここまで落ち込むことなんてそうない。
「僕達の思いはきっと伝わってるけど、僕達のことをどう思っているかなんて分かりっこない。そう思ったら、何か切なくて。」
「俺たちの思いは伝わっているのか!?」
「うん」
一番気になっていたことが聞けてよかったのはよかったのだが、確かに俺たちをどう思ってるのかはわかりっこない。
「俺のこと、どう思ってるんだろうな。」
「どうだろうねぇ。僕にも分かんない。でも、歌苗がもしルー君のことが好きだったら、僕、どうしようか。」
ヴォルフの丸っこい目が切なそうに細められた。
俺たちの思いはお互い昨夜吐露したようなものだから、ヴォルフが小娘を好いているようなことを言っても別に驚きはしない。
「小娘がもしおまえのことを好いていたら、俺はどうなるんだろうな。」
「全く想像もつかないよね。」
波の音が聞こえる。
それが少し、俺の心を落ち着かせた。
それはヴォルフも同じらしく、ヴォルフの瞳からは切なさが跡形もなく消え去っていた。
「ねえ、ルー君。」
「なんだ」
「もし僕が失恋したらルー君、慰めてよね」
茶目っ気たっぷりに笑うヴォルフ。
そんなの強がりなのはすぐにわかる。
その明るさは天からのみあげものだろう。
俺たちは幾度となく襲いかかってくる試練をそうやって乗り越えてきた。
心を強く持たねば精神的に追い込まれていくような時代を俺たちは生き抜いてきた。
だからこそ分かる強がり。
「ああ。」
俺は軽くほほ笑んだ。
ヴォルフが失恋して俺の恋が成就したとしても、ヴォルフを慰められる自信があるから。
さて、どうしようか。
俺が小娘を落とすにはどうしたらいいんだ。
俺は知らない。
その問いに悩むことが全く持って無駄だったことに。
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ヒメちゃん - モツはかわいいし、ベトはなんかツンデレ。なんかたまらないわ。クラシカロイド。(* ∀ *) (2018年9月23日 15時) (レス) id: 5f6a8c1781 (このIDを非表示/違反報告)
愛羅♪(プロフ) - あんころもち(●´ ∞`●)さん» ありがとうございます!楽しみにしていてくださいね〜!ズバリお聞きします!誰推しですか? (2017年8月20日 20時) (レス) id: 79571655d4 (このIDを非表示/違反報告)
あんころもち(●´ ∞`●) - うおおおお! なんていい子なんだモツはーーー!! ますますモツが好きになりました! 続編楽しみにしてます! (2017年8月20日 18時) (レス) id: 71908c4cef (このIDを非表示/違反報告)
愛羅♪(プロフ) - あんころもち(●´ ∞`●)さん» さあどうでしょう!これからも楽しみにしていただけたらとてもうれしいです! (2017年8月19日 21時) (レス) id: 79571655d4 (このIDを非表示/違反報告)
あんころもち(●´ ∞`●) - これってベト落ちですか?? あっ ネタバレになるならいいです!おもしろいので毎日楽しみにしています! (2017年8月19日 17時) (レス) id: 71908c4cef (このIDを非表示/違反報告)
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