5 ページ11
「やぶくんは行くの?」
「ゆうと次第かな」
「ここでやるの?」
「いや、たぶんひかるの家でやると思う」
あいつの家は無駄に広いから、と付け加えたやぶくんの口に最後のみかんが消えていく
口ぶりからするに、俺が行きたくないと言ったらやぶくんも行かないっぽいけど
無駄に広いというひかるさんの家でやるということは、いのおさんも含め4人でパーティーという可能性は低く、もっと他に参加する人もいるということだろう
そうなってくると普段会えない友達とかも来るだろうからやぶくんは行きたいだろうし
そもそも、クリスマスパーティーってクリスマスの何時から始めるものなの?
イブにやるものなの?
もし、イブにやるんだったらクリスマス当日はやぶくんと過ごせるということ?
ぐるぐる、ぐるぐる頭の中で考えていたら
「たかきも来る」
なんて急に言うから
「行く」
と反射的に答えてしまった
「即答かよ」
「だって、」
今度会わせるとか言って、全然会わせてくれないし
やぶくんのこと信用していないわけじゃないけど
前回、髪切ってきたと思ったらなんか可愛い仕上がりになってたし
やぶくんは、いつもと一緒のオーダーだ!
と言い張っていたから絶対あのたかきさんって人がわざとやってるんだよ
関係を説明されたとはいえ、まだちょっと不安で、早いうちに会っておきたいとずっと思ってた
だからといってクリスマスパーティーに行くと言ってしまうとは
大袈裟だけど、一生の不覚
こうなったら、二人だけの時間を無理矢理ねじこむしかないのか
それか、来年まで待つか
「何が気にくわない?」
黙ってしまった俺の顔を不思議そうに覗き込んでくるやぶくん
「なにがってなにが」
本当のことを言えないので目を逸らしてみかんを食べる
「分かりやすく嫌そーな顔してるけど?」
「してないから」
「そう? それならいいけど」
詮索するような目を止めたやぶくんが
みかんちょーだい、とねだってきたけど
いやだ、と言って残りを全部口に入れた
「クリスマスはバイト入れたのか?」
みかんが食べれなくてつまらなさそうにしているやぶくんはさっきと同じ質問をしてくる
「え、入れてないってさっき言ったよね」
「そっか、そっか。入れてないのか」
もう一度そっか、そっか、と繰り返したやぶくんは目尻を下げる
なぜにちょっと嬉しそうなんだろうか
87人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
名無し84745号(プロフ) - 凛花さん» コメントありがとうございます。感想が聞けてすごく嬉しいです! (2019年4月13日 12時) (レス) id: 8ba8fca067 (このIDを非表示/違反報告)
凛花(プロフ) - コメント失礼します!凄く素敵でした!ゆとやぶ大好きなので書いてくださり本当に有り難いです…! (2019年4月12日 21時) (レス) id: d67589c485 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:名無し84745号 | 作成日時:2019年2月3日 23時