長男が唯一甘えられる存在【おそ松さん】 (ページ6)

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「……ふぅ」

事を経てトイレから出たおそ松は、最悪の事態に直面した。

そう。

目の前にいたのだ。

「おそ松……トイレ長いって……」

呆れ顔をした、姉が。

「あ、あああ！！！」

途端に顔が真っ赤になる。
ことの最中に姉の名前を呼んだ。それが聞こえていたら、自分はもう終わりだ！！とおそ松は咄嗟に感じた。

「わ、わり、ついエ〇本で、ほら……」

「エ〇本、かぁ……………」

まるで疑いをかけるような目で姉は自分を見る。
そう、この姉。昔から妙に勘が鋭い。

学生時代の話だ。

カラ松が演劇部でプレッシャーに潰されかけたり
チョロ松が「優等生」のレッテルに悩んでいたり
一松がちょっとしたいじめに遭い傷ついていたり
十四松が野球の試合前に怪我をして隠していたり
トド松が女の子に振られて自信を喪失したり

おそ松が「長男」を捨てたいと思っていたり

気づいたのは全て姉で、対処したのも全て姉。

しかも、長男と自分自身、当事者以外には知られぬようにというのだからたまげたものだ。

だが今回ばかりは都合が悪い。

「あ、も、もしかして、
A姉も、え、エ〇本欲しい、とか…？」

じわりじわりと距離を縮められ、ついには壁ドンされてしまう。おそ松は肩を丸めて焦り出す。

「おそ松」

「は、はぃいい！！！」

「お姉ちゃんは……
エ〇本のモデルなんて、したこと…ないよ？」

「！！！？？？」

ば、バレている！！
おそ松は確信を抱く。

どう出ようか迷っていると、姉はそのままトイレに駆け込んでしまい、気づけば廊下に一人取り残されていた。

彼は知らないままである。

これは姉が単に遊び半分で言った発言だったと。