16 ライブ開始 ページ16
紅郎はそう言って敬人の裏に周り、服の丈などを見直していく。
衣装などについては、プロデュース業務の中にもあるので、なんとなく、何をしているのかはみていてわかった。
「おお？何だよ坊主、かっこいいじゃね〜か......。今日は、それ着て歌うのか？」
「ぎゃはは☆ どうした蓮巳センパイっ、さいっこ〜にロックじゃね〜か！」
「あぁ朔間さん、大神も......。他人事みたいに言っているが、おまえらもこれを着るんだぞ。鬼龍に頼んで、今日のために用意してもらった特製の衣装だ」
茶化すように言った二人に、敬人は真面目な顔でそう返す。
そして、敬人以外も全員衣装に袖を通し、微調整するということだった。
『それ、私も手伝うわ』
「おぉ、できんのか？」
『一応ね』
「けど、これは俺に依頼された仕事だからな。頼むかは蓮巳次第になる」
「俺は別に構わない。蓮巳は衣装作りなどを任せてしまっていたし、報酬分の働きはしてもらっているからな。
ただ、綴の分まで報酬は払えんぞ？」
『いいわ。私は私で経験積ませてもらうだけだから』
「それなら、頼むとしよう」
そういうことで、実際に衣装合わせを手伝わせてもらうことになる。
より直しが多くなりそうな零の衣装を鬼龍が、灰色の髪の＿＿晃牙の衣装を私が直すことになった。
ちなみに、晃牙とは改めて、自己紹介もした。
それから数十分が経ち、衣装直し、その他諸々を終えて、三人は舞台に立つ。
この地下ライブハウスを溜まり場にしているらしい素行の悪そうな連中は、海外に行くほどの実力者らしい零のパフォーマンスを見て、大盛り上がりしていた。
プロデュース科で習ったことを思い出しながら、ライブの様子を入口付近で少しの間見守っていると、どこかから知った声が聞こえてくる。
声の主を探せば、紫と紫。
いつだか刀の話をした颯馬と、最近たまに話をするアドニスが話をしながらライブハウスに入ってきていた。
様子を伺っていれば、受付を素通りしかけて、金髪の人に声をかけられている。
どこか常識が通じないというか、変なところで危なっかしい組み合わせだな、となんとなくそう思った。
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作者名：速川 薫 | 作成日時：2024年3月23日 12時
