58.セーブ ページ13
Aからのキスが欲しい。
そんなものはただのからかいでしかなかった。
Aがキスをしてくれるとは思えねぇし、ただ、恥ずかしそうに顔を染めるのを見たかっただけ。
それは、上手くいったと思う。
Aは俺の予想通り、驚いて顔を赤くしていた。その顔が可愛くて思わず腕を掴んで引き寄せてしまったが、それはそれだ。
まさか、頰にとはいえ…キスをAからしてくれるとは思わなかった。
おかげで、身体中が熱い。
それに加えて『…これでいいでしょ?その……今はこれで、許して…欲しい』なんて言うのだから理性が少しだけ揺らいだ。
いつか、してくれるって事だろ?
本当に…可愛すぎる。
「はぁ……可愛すぎか」
思わず声に漏れるが、Aには聞こえてなかったらしく首を傾げている。
もう、やめてくれ。
俺を殺すつもりか、と理性がまた揺らぐ。
クラクラと限界の中で、思わずキスをした。まだ、我慢した方だと思う。
一回だけ、しかも短いキス。
『焦凍の…ばか』
赤い顔でそんな事、言われてもな。
そそるだけなんだが…
だが、これ以上はAも耐えられないだろうし嫌われるかもしれない。
そう思うと、自然と心が穏やかに冷えていってAから離れた。
それと同時に、鍵を開ける音がして扉が開く。
「あれ?帰ってきてたの?」
そう言ったのは姉さんで、手には買い物袋をぶら下げていた。
丁度いい、と「手伝う」などと言って袋を受け取りそのまま台所へと向かう。
ちらりとAを見れば、赤い顔を隠すように靴を脱いでいた。
早く。
俺のものにしてぇ。
なんて欲を抑え込んで視線をずらした。
◇◆
「焦凍、楽しかった?」
姉さんが食材を冷蔵庫に入れながらもそう聞いてきた。
今日のことを言ったいるのだろうその質問に「あぁ」と答える。
「どこに行ったの?」
「ボウリングだ」
「へぇ、焦凍達、初めて行ったんじゃない?」
「あぁ、なかなか面白かった」
そう言えば、嬉しそうに姉さんは笑って「じゃあ、今日はざる蕎麦にしようかな。晩御飯」と蕎麦の麺を取り出した。
どうしてそこに繋がるんだ?と思ったがまぁ、いいかと深くは考えない。
「ねぇ…焦凍」
「?なんだ?」
「……いや、なんでもない」
変な姉さんだ。
なんて首を傾げてから台所を後にした。
「(言えるわけ…ない、か。3年になるまでは)」
142人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おつきみ(プロフ) - moeさん» ありがとうございます!!そう言ってもらえるととても嬉しいです!!これからもよろしくお願いしますm(__)m (2018年4月21日 17時) (レス) id: 927d00d57e (このIDを非表示/違反報告)
moe(プロフ) - この作品、大好きです、 (2018年4月21日 11時) (レス) id: 32c275f53e (このIDを非表示/違反報告)
、 - 実在する人物、団体、アニメキャラ等を扱う二次創作になりますのでオリジナルフラグ外して下さい。違反行為で違反報告の対象になります (2018年3月26日 6時) (レス) id: 104648a3e7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:おつきみ | 作成日時:2018年3月26日 1時