検索窓
今日:20 hit、昨日:52 hit、合計:8,849 hit

142 ページ46

静かに拳を握りしめながら、そんな思いを黒羽へと告げるものの



「…不死川さん、もう帰って下さい。」



「それで待って、もう二度と此処には来ないでいただけますか。」



黒羽ははっきりとした口調で、不死川にそう告げた後



「それに…既に隊を降りた私にとって、アンタは所詮赤の他人ですからね。」



「こうして私がアンタと話をする理由もなければ、アンタが私に構う理由だって…もう無い筈ですよ。___」



















***


(黒羽 side)
















___その後、アイツは無言で屋敷を去り



数日の間は、この場所に訪れる事などなく



「(ちゃんと言えば…意外に分かってくれるもんなんですね、)」



気を緩めると共に、そんな事を思ったのも束の間。



アイツはふたたび、この場所へと足を運んだかと思えば



『私と話がしたい』と、九條さんに何度も頼み込んでいるようで



「紫は…『君と話す事はもうない』って言ってるんだ、悪いね。___」



その度に私は九條さんを通じて



今日も今日とて、アイツを追い返してもらっている。















アイツが去った後、九條さんは私の部屋へと足を運び



「___紫、今日も不死川くん来てたけど…本当に彼の事、追い返して良かったの?」



幾度かそんな問いを、投げ掛けてはくるものの



「いいんですよ、というかアンタ…私の心配より自分の心配したらどうです?」



「この前の縁談、破談になったんでしょう。…アンタ、このままだと一生独り身___」



「独り身じゃない!俺には紫がいる、!!」



「………離れて下さい、殴りますよ。」



泣きつく九條さんに対して、そう言葉を返し



「せめて…私が死ぬ前までに、いい人見つけて下さいよ。」



「私はこれでも、不器用ながら…アンタの幸せを願ってるんですから。」



九條さんの方へと目を向けて、率直な思いを告げる。



「……、」



九條さんは私の言葉を聞き、黙り込んだかと思えば



「俺はもう…二度とこんな思いはしたくなかったんだけどな…。____」



そう告げると同時に、私の身体を軽く抱き寄せ



「…アンタ、誰と重ねてるんですか。」



九條さんに対して、そう言葉を掛けると



「(……)」



九條さんは視線を落とし、俯いた様子でいながらも



抱き寄せていたその手を解き



「じゃあ俺は…今から買い出し行ってくるから、留守頼むね。___」



何事もなかったかのような顔で、その場を立ち去っていく。

143→←141



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (24 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
117人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2023年11月1日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。