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屋敷の中へと目を向け、不死川がそう尋ねる中
「…まァね、二年もあれば人は変わるよ。今では片付けなんて朝飯前さ。」
九條は表情一つ崩す事なく、不死川の問いに対してそう返す。
「(……)」
不死川は九條の言葉を聞き、口を閉ざしたかと思えば
「中、見させて貰うからなァ___」
半ば強引に屋敷へと上がり、一つ一つ部屋を確認していく。
「(___俺って…もしかして嘘下手…?結構頑張って取り繕ってるつもりなんだけどな…。)」
不死川の後を追いながら、九條がそんな事を思う中
「(…!)」
先を歩く不死川の手が、とある部屋の襖へと差し掛かかったところで
「不死川くん、此処らで…止めにしておこうか。」
九條は常人とは思えない力で、不死川の腕を掴み上げ
「連絡もなしに訪ねてきて、無許可で屋敷に上がるなんて…いくら何でも不躾すぎるよ。」
「それに俺はこれから縁談__じゃなく……用があるから、今日はもう帰ってくれないか。」
微笑を浮かべながら、不死川に対してそんな言葉を投げ掛ける。
対する不死川は、九條の圧に臆する事なく
「…手離せェ、」
吐き捨てるようにして言葉を返すものの
九條は先程よりも強い力で不死川の腕を掴み
「『嫌だ』…って言ったら、?」
挑発するかのような笑みを浮かべ、不死川に対してそう尋ねる。
「その時は…テメェの腕、へし折ってでも____」
不死川が九條に対してそう言い掛けた時だった。
「……はぁ、」
襖の向こうから、深い溜息が聞こえてきたかと思うと
「本当…アンタらは、血の気が多いですよね。」
「二十超えた大人が…些細な事でピリピリしないで下さいよ、聞いてるこっちが恥ずかしいです。」
黒羽は襖越しにそう告げた後、
「九條さん、もういいです。後は私が話付けますから…アンタは縁談行って来て___」
そう声を掛けると、九條は黒羽の言葉を待たずして
「じゃあ行ってくるよ、留守頼むね。」
不死川から手を離し、玄関の方へと向かっていく。
「(多分、今日も…上手くいかないと思いますけどね…。)」
黒羽が呆れた様子でそんな事を思う中、
「……紫、」
不死川は黒羽の名を呼び、襖へと手を掛けるものの
「不死川さん、このまま話しましょうか。…アンタの顔見ると余計に体調悪くなりそうなんで。___」
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作者名:雫 | 作成日時:2023年11月1日 0時