138 ページ41
***
数日後、蝶屋敷にて
「___不死川さん、怪我の状態も気になりますが……その顔どうされたんですか。」
「……」
診察室では不死川の手当てを行う、胡蝶の姿があり
「ちゃんと休まれていますか…?任務中、倒れでもしたらどうする___」
胡蝶がそう声を掛ける中、黙り込んでいた不死川が口を開いたかと思えば
「アイツの行きそうな場所…知らねェかァ、」
そんな問いを胡蝶へと投げ掛け、
「(……)」
胡蝶は何か考え込んだ様子でいながらも、静かに首を横に振り
「私が彼女を待ち続ける中、あなたはひたすら彼女を探しに行って…連れ戻そうとする……。」
「前にも…こんな事ありましたよね、」
呟くようにして、目の前の不死川にそんな言葉を投げ掛ける。
「…私は以前、あなたに言いましたよね。『来るべき時に備えて覚悟を決めろ』と。」
「あなたはまだ…その覚悟が決まりませんか。」
胡蝶が不死川に対して、そう告げる中
不死川は少しの沈黙の後、口を開いたかと思えば
「…お前がそれを言うのかァ、」
「お前こそ本当は…そんな覚悟待ち合わせてねェだろォ」
「本当に覚悟が決まってるってなら、そこにある届けは…もうとっくに出せてる筈だろォ」
不死川はそう言って、隠すようにして机上へと置かれていた『除隊届』へと視線を移す。
「やはり…あなたはこの文を読みましたか…。」
胡蝶は皺になった届けへと目を向け、静かに視線を落とす中
「……」
不死川はそんな胡蝶に目を向けた後、
「手当て…ありがとなァ、___」
その場に立ち上がり、すぐさま診察室を立ち去っていく。
蝶屋敷を去った、その後の道中
「(アイツ…何処行きやがったァ…、)」
不死川はそんな事を思いながら、一旦自身の屋敷へと立ち寄り
郵便受けへと収められていた、手紙へと目を通す中で
「(そういえば…アイツ、最近誰かに手紙出してたよなァ…。____)」
117人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:雫 | 作成日時:2023年11月1日 0時