検索窓
今日:30 hit、昨日:10 hit、合計:8,807 hit

135 ページ38

***

(不死川 side)
















___最後にアイツと話をしたのは、二週間ほど前の事で



先程蝶屋敷を訪れた際、アイツについて神崎に尋ねたところ



『紫なら…長期の任務でしばらく帰って来ないと、しのぶ様が仰ってました。』



そう言葉を返され、蝶屋敷を出た後は一人食事処へと向かう。



アイツとよく訪れる食事処へと辿り着き、注文を待つ間



「(アイツ…長期の任務だって一言も言ってなかったよなァ…。)」



どうしてあの時、教えてくれなかったのか…だなんていう苛立ちと



目の前の空席に、どうしようもない違和感を覚えてしまい



「(いつ…戻るんだろうなァ、__)」



そんな事を考えながら食事を終え、その日はそのまま屋敷へと帰宅した。



















それからまた、数週間が経った頃



相変わらず…アイツの姿を蝶屋敷で見る事はなく



「(代えの包帯貰うついでに…アイツがいつ帰ってくるか、胡蝶に聞いてみるかァ…。)」



そんな事を思いながら、診察室へと足を運んだものの



そこに胡蝶の姿はなく、用具箱が机上へと置かれているだけで



「(いねェみてェだし…勝手に貰ってもいいよなァ)」



用具箱の蓋を開け、包帯を取り出そうとしたその時。



開いていた窓から、乾いた風が入り込み



付近の棚から一通の手紙が滑り落ちる。



その場に屈み、床へと落ちたそれを拾おうとすると



「(『黒羽…紫』…?)」



手紙の裏面には、見覚えのある文字でアイツの名が刻まれており



その手紙をゆっくりと裏返すと、そこには____

















「……は、」
















思わず気の抜けた声が出ると同時に、すぐさま封から中身を取り出し



「……、…____」



書かれている内容に一通り目を通し、思わず唖然としてしまう。
















…確かにこれは、俺が以前望んでいた事だった。



けれど、俺がその先に望んでいたのは…こんな結末ではなくて















「『死期が近くて…もう刀は握れねェ…、だから隊を降りる』だァ…?」
















そう呟くと同時に『除隊届』と記された、封を静かに握り締める。



「お前は何も言わず…独りで死ぬ気でいンのかァ…?」



















「…ふざけた事…言ってンじゃねェ、…___」

136→←134



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (24 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
117人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2023年11月1日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。