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『 九條 杏弥(くじょう きょうや) 』
___今から十年前、鬼殺隊へと属し
次期柱と称される程、実力ある剣士ではあったものの
「…紫、これ見て。新しい義手。なかなかイケてると思わない?」
「何ですか、そのクソダサい柄…違和感ありまくりですよ。」
片腕を損傷した事によって、前線からは遠のき
ここ八年は育手として、剣士の育成へと力を入れている。
一通り片付けを終えた黒羽は、九條の部屋へと戻り
「具合…どうですか、まだ気分悪いですか?」
九條の側へと腰を下ろしながら、そんな言葉を投げ掛ける。
対する九條は、先程よりも元気そうな様子で
「だいぶ…良くはなったかな、ありがとう紫。」
「お茶入れてくるから、紫は此処で待___」
そう告げると同時に、台所へと足を運ぼうとしたものの
九條は何もない所で躓いたかと思えば、付近にあった花瓶へと頭部を強打し
「あれ…頭痛治ったと思ったんだけど…、またズキズキしてきた…。」
九條の頭部から、ダラダラと血が滴る中
「……」
黒羽は呆れたような視線を向けた後、九條に対して
「…もういいです。お茶出しに花瓶の片付け…馬鹿の手当て、全て私が引き受けるので…九条さんはそこで大人しくしてて下さい。___」
その後、黒羽は手当てを行う中で
「アンタ、鬼殺隊にいた時は凄腕の剣士と聞きましたけど…それ本当ですか?そんな人が何も無い所で転びます、?」
九條の頭に包帯を巻きながら、そんな問いを投げ掛けるものの
「紫、見て。茶柱立ってる…今日はいい事ありそうだ、」
九條はその問いに返答する事なく、黒羽が入れた茶を口へと含む。
「(相変わらず…頭空っぽですよね、この人…。)」
九條の返答を受け、黒羽がそんな事を思っていると
「あ、そうだ。紫…この前送った手紙、読んでくれた?」
九條は勢いよく黒羽の方へと振り返り、そう尋ねるものの
「…九條さん、いきなりこっち向かないで下さい。まだ包帯巻き終わってないんで、」
黒羽は九條の顔へと触れたかと思えば、強引に前を向かせ
「…っ、紫…今、首ゴキって…絶対、骨折れ___」
「馬鹿は風邪引かないのと同じで…骨も折れません。だから、アンタは大丈夫です。」
「博識な紫がそう言うなら…大丈夫か。良かった、」
「(本当…馬鹿、)」
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作者名:雫 | 作成日時:2023年11月1日 0時