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***

(黒羽 side)















私の力だけでは、叶えることが出来ない片羽の夢は



『師範の事…よろしく頼むね。』



剣士としての才に溢れた、カナヲへと託し



あと少しで、叶う見込みがあった…片羽の夢は



「(……)」



直に音を立て、崩れ落ちてしまうのが目に見える。
















「(__いや、流石に…自意識過剰すぎますかね…。)」



灰化が進む遺体を眺めながら、そんな事を思う中



「…オイ、何座り込んでンだァ。早く戻るぞォ」



共に任務へと向かった男の声が、耳へと届く。



「さっきの攻撃で…足やられたんで、無理です。」



「先に戻ってていいですよ、私は隠が来るまで此処にいます。」



アイツに対して、そう言葉を返すものの



「おぶってやるからよォ…早く乗れェ、」



アイツは私に背を向けてしゃがみ込み、そんな言葉を投げ掛ける。



「…嫌ですよ、アンタにおぶられるだなんて…屈辱すぎて一週間は余裕で寝込みます。」



嫌そうな視線を向けると共に、そう言葉を返すと



アイツは軽く溜息を吐いた後、その場に腰を下ろし



「お前…そこまで言うかァ、どんだけ俺の事嫌ってンだァ…。」



少し呆れたような視線を向けながら、呟くようにしてそう告げる。



「(そういうアンタは…いつまでその思い違いしてるんですか、)」



そんな事を思いながらも、その言葉は口に出す事なく



「……」



深手の怪我を負った、自身の足へと目を向ける。



「(いつもであれば…あの程度の攻撃、簡単に避けれたんですけど…、___)」















…ここ最近、思うように身体が言う事を聞かず



鍛え上げた勘も鈍り始め、一つの技を出すだけでも体力の消耗が著しい。



「(そろそろ…潮時ですかね、)」



出来る事なら、私は…剣士として生涯を終えたかった。



けれど、私は最期まで剣を握り続ける事よりも



「アンタの足手纏いだけには…なりたくないんですよ…、…。」



アイツには聞こえない声量で、そんな思いを吐き捨てると同時に



地面に下ろした拳を静かに握り締める。



「今、何か言ったかァ?」



「…いえ、何も。」



そう返した後は、ふたたびアイツの方へと目を向けて



「あの…本当に戻っていいですよ、」



「普通に邪魔__…いや、柱である不死川さんの貴重な時間を無駄にする訳にはいかないでしょう。早く帰って下さい、」

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作者名: | 作成日時:2023年11月1日 0時

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