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___某日、蝶屋敷にて
「(胡蝶の奴…何処にいンだァ?)」
屋敷内では周囲を見渡しながら、胡蝶を探す不死川の姿があり
「(診察室にはいねェみてェだったし…この際、神崎にでも頼んで新しい薬用意してもらうかァ…?)」
そんな事を思いながら、廊下の角を曲がろうとした時。
「食事…ですか。」
聞き慣れた声が、耳へと入り込んだかと思うと
「は、はい…!黒羽さんが良ければなんですけど…この後、一緒にどうかなと…!」
とある一人の隊士と、黒羽の後ろ姿が不死川の目に留まる。
「……、」
不死川が咄嗟に足を止め、壁際へと身を寄せる中
「その…俺、前々から黒羽さんの事いいなと思っていて…。」
隊士は明らかに、好意のある視線を黒羽へと向けるものの
「へぇ…それはどうも。」
黒羽は大して興味のなさそうな様子で、返答したかと思えば
「それで…その食事ってのは、アンタの奢りですか。」
淡々とした口調で、そんな言葉を隊士に投げ掛ける。
その問いかけに「勿論です!」と勢いよく、返答が返ってくると
「(今日は…不死川さん見かけませんし、奢ってくれるなら誰でもいいか…。)」
黒羽はふとそんな事を思った後、隊士の方へと目を向けて
「…そうですね、では今から____」
そう言葉を発した時だった。
「 紫 」
自身の名を呼ぶ声が、耳へと届いたかと思えば
「…不死川さん、?」
そこには少し不満げな視線を向ける、不死川の姿があり
「今日は…行かねェの、」
黒羽へと目を向けながら、呟くようにしてそんな言葉を投げ掛ける。
「……」
黒羽は少し何かを考えた後、隊士の方へと向き直り
「食事の件ですが…先約がありました、すみません。」
「それと…今後食事に誘っていただいても、アンタと一緒に行く事はないかと。」
「…どうせ食事に行くなら、経済力のある人の方がいいですからね。高い物食べれるので、___」
そう言って黒羽は隊士に背を向け、不死川のもとへと向かい出す。
蝶屋敷を後にし、街中へと移動する途中
「___オイ…その顔やめろォ…。」
不死川は隣を歩く黒羽から、終始意地の悪い笑みを向けられており
「その顔とは…?別にいつもと変わりませんが、」
黒羽は淡々とした口調でそう返し、不死川と共に食事処へと足を運んだ。
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作者名:雫 | 作成日時:2023年11月1日 0時