検索窓
今日:37 hit、昨日:10 hit、合計:8,814 hit

117 ページ20

辿り着いた部屋の中には、隊員が映った写真が複数壁へと掛けられており



『(…匡近…、)』



その中には朗らかに笑いながら、不死川の肩を抱く青年の姿と



少し気恥ずかしそうな様子ではありながらも、青年と笑い合う不死川の姿があった。



『……』



黒羽がその写真を眺める中、家主も写真の方へと目を向けて



『いい写真…ですよね、』



『不死川様はこの方と任務に行かれる事が多くて、彼と親しげに話す姿を…私はよくこの目で見てきました。』



『…けれど、粂野様は…四年前に____』



後の言葉は告げる事なく、家主は視線を落とした後



少し間を置いてから、ふたたび口を開く。



『粂野様に先立たれてから、不死川様は…何かと一人でいる事が多くなって…、』



『柱になられてからは…以前よりも近寄り難いような雰囲気を出しているといいますか…、隊士達からは恐れられているようですし…。』



『不死川様は…本当は誰よりも、心の優しいお人なんですけれどもね…。』



家主はそう呟いた後、黒羽の方へと視線を移し



『だから…私は先程、不死川様と親しげに話すあなたを見かけた時、驚きましたよ。』



『あなたは不死川様に対して、恐れを抱く事もなければ…敬意を持って接している…という訳でもなく、』



『不死川様と対等に、良い関係性を築く事が出来ているのだと…そう思いました。』



穏やかな笑みを浮かべながら、そんな言葉を黒羽へと投げ掛ける。



「……、」



黒羽は一通り話を聞いた後、静かに口を開き



『…そうでもないですよ、私は…不死川さんに数々の重荷を背負わせてるみたいですから。』



『不死川さんが私に構う理由なんて、一種の罪滅ぼしみたいなものです。…それを良い関係性だなんて、呼んでいい訳が___』



黒羽がそこまで言い掛けた時だった。



『そうでしょうか』



家主は黒羽の言葉に被せるようにして、そう告げたかと思えば



『私は…あなた方の事情を深く知っている訳ではないですが…』



『不死川様があなたに向ける視線というのは、ただ単に…後ろめたい気持ちだけではないかと思いますよ。』



目の前の黒羽に対して、そんな言葉を投げ掛け



『(……)』



その言葉を受け、黒羽が考え込んだ様子でいると



家主は付け足すようにして、ふたたび口を開き



『不死川様だけでなく、あなたが不死川様に向けるその視線も……第三者の私から見たら、近い意味合いがあるように思いますけどもね…。』

118→←116



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (24 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
117人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2023年11月1日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。