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その後、カナヲは黒羽と共に屋敷へと戻る途中



「そういえば…この前、師範が____」



先日、胡蝶が呟いていた言葉を思い出し



カナヲはその言葉をそのまま黒羽へと伝える。



黒羽は「へぇ…」と興味のなさそうな返事をしたかと思えば、



「そもそも私は…継子になるつもりなかったからね、」



「まァでも…誰かさんにあんな事言われたら、継子になるしかないでしょ。…ね、カナヲ?」



カナヲに対して、微笑と共にそんな言葉を投げ掛ける。



「……、」



対するカナヲは、少し決まりの悪そうな表情を浮かべながら俯いており



そんなカナヲを目にした黒羽は、ふたたび口を開き



「そんな顔…しなくていいよ。カナヲがああでも言ってくれなきゃ、私は継子になる決心つかなかったし。」



「むしろカナヲには感謝してるから、…だから気にしなくていいよ。」



カナヲの顔を覗き込みながら、ふっと微笑み掛ける。



その言葉を受け、カナヲがほっとした様子でいる中



「……」



黒羽は何か考え込んだ様子で、一旦口を閉ざしたかと思えば



「…カナヲ、」



いつになく、はっきりとした口調でカナヲの名を呼び



「師範の事…よろしく頼むね。」



少し寂しげな表情を浮かべながらも、カナヲに対してそう告げる。



「え…?あ、うん…。」



カナヲは戸惑った様子でいながらも、黒羽の言葉に返答し



「紫…やっぱり風柱様と結婚して、蝶屋敷出て行くの…?」



的外れな問いを黒羽へと投げ掛ける。



そんなカナヲに対して、黒羽は軽く溜息を吐いた後



「カナヲは…もう少し人を疑った方がいいと思うよ、」



注意を促すようにして、そう告げるものの



「まァ…結婚は近々するかな、そろそろ荷物まとめて置かないと…。」



付け足すようにして、カナヲの言葉に返答し



対するカナヲは、少し寂しそうな様子を見せながらも



「風柱様と…幸せになってね。」



呟くようにして、そんな言葉を投げ掛ける。



その言葉を受け、黒羽は少しの沈黙の後



「…全部冗談だよ、間に受けすぎ。」



乾いた笑いを溢しながら、辿り着いた屋敷の戸へと手を掛けた。

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作者名: | 作成日時:2023年11月1日 0時

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