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___紫が鬼殺隊に入隊してから、二年の月日が経った頃



カナヲもまた…無断で選別に挑み、私のもとへと帰ってきた。



カナヲの入隊を認めると共に、正式な継子として迎えた際



『師範は…どうして紫を継子に迎えないんですか、』



突如、そんな問いをカナヲに投げ掛けられる。



『紫の方が…腕も立つし、頭もいい…階級だって、あと少しで甲に上がる…。』



『私より…継子に相応しいんじゃないかと…。』



…カナヲの言う通り、紫はこの二年で著しい成長をみせ



独自の呼吸を生み出し、自身の体質を活かしながら鬼殺を行ってきた。



それに加え、彼女は…誰よりも努力家で



力の差をカバーするかのようにして、瞬発力や持久力を徹底的に磨き上げ



状況に応じて咄嗟の判断を下すことが出来る…頭の良さも持ち合わせていた。



…そんな彼女を私が継子として迎えない、いや…迎える事が出来ないのは



『紫に…継子の話を断られてしまったからですよ。』



一般の隊士を正式な継子として迎える為には、互いの同意が必要不可欠であり



私は以前、紫に継子の話を持ち掛けはしたものの













『継子…ですか、要するに次期柱候補って事ですよね。』





『しのぶさんには申し訳ないですが…遠慮しておきます。色々と面倒臭そうですし…私は今のままでいる方が気楽で良いです。___』













あっさりと話を断られ、結局紫を継子として迎える事は出来なかった。



その話を目の前にいるカナヲにしたところ、



『…そうですか、』



何処か納得いかない様子を見せながらも、カナヲは呟くようにしてそう返答した。















紫の性格からして、話をする前に…継子の件は断られるような気がしていたものの



紫が話を断ったのは、単に面倒だからと言う理由だけではなく



『(自分は長く生きられない事を…悟っているからなんでしょうね…。)』



彼女は…既に自身の最期を見据え、死ぬ覚悟が出来ている。



淀む事のないあの目からは、そんな覚悟がひしひしと伝わってくる。















…そんな理由とはまた別に、



彼女が私の継子にならない理由は…他にもあるような気がして



継子として師に鍛えて貰うのならば、



私よりも…彼の下で鍛えてもらいたいと



『(少し…妬けちゃいますね…。___)』



かつて屋敷の窓から彼を見つめていた彼女なら、そう思うような…そんな気がした。

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作者名: | 作成日時:2023年11月1日 0時

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