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視線を合わせ、黒羽がそう尋ねると



「…え…あ、…」



玄弥の顔は先程よりも赤みを増し、



「は、はい…、き…聞いてます…。」



辿々しい口調ではありながらも、黒羽に対してそう言葉を返す。



黒羽はそんな玄弥の様子を眺めながら、



数時間ほど前、胡蝶に告げられた言葉が頭の中へと浮かび












『今日は…玄弥くんが定期検診に来ると思うので、私の代わりに診てあげて下さい。』



『彼は思春期真っ盛りなので、優しく接してあげて下さいね。』












「……、」



黒羽はそんな胡蝶の言葉を思い出しながらも、



敢えて玄弥のもとへと身を寄せ



「あ、あの…黒羽さ___」



鼻一面を横切る、顔の傷跡を優しく撫でる。



「いい加減…女性に慣れたらどうですか、」



「鬼殺隊は女性隊士も少なくないですし、少しでも慣れておかないと…任務に支障が出ますよ。」



そう告げたかと思えば、黒羽は硬直する玄弥に対して



「…私が一度、手解きでもしてあげましょうか?」



「女性に慣れしてしまえば…少しは診察もスムーズに進みますしね、」



「まずは…そうですね、試しに口付けでも___」



黒羽の指先が、玄弥の唇へと触れかけたその時。



「…あ、」



玄弥はいつの間にか、気を失った状態で目を回しており



黒羽は玄弥から身を離し、軽くため息を吐いた後



「(反応は面白いんですけど…耐性がなさすぎるんですよね…。)」



「(玩具としては…兄の方が頑丈ですね、___)」















その後、意識を失っていた玄弥は目を覚まし



「アンタが寝てる間に、診察終わったんで…もう帰っていいですよ。お疲れ様でした。」



黒羽がそう話す中、玄弥はハッとした様子で



「え…あの、俺…何で服着て……」



自身の隊服へと目を向けながら、そんな問いを投げ掛ける。



「あァ…私が着せました。何か問題でも?」



黒羽が淡々とした口調でそう答えると、玄弥は思わず顔を伏せ



「(女子に…着替えさせられるだなんて…、)」



気恥ずかしそうな様子で、そんな事を思う一方で



「……」



玄弥はゆっくりと顔を上げ、黒羽の方へと静かに視線を移す。



「…何か、?」



その視線に気が付いた黒羽が、そう尋ねると



玄弥は少し言いづらそうな様子で口を開き、



「その…此処に来た時から、ずっと気になっていたんですけど…。」



「黒羽さんから…『藤の花』の匂いが___」

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作者名: | 作成日時:2023年11月1日 0時

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