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少し呆れた様子で声を掛けながらも、



不死川はその状態のまま、報告書を全て読み終えた後



「___紫、行くぞォ」



立ち上がると同時に、床へと倒れ込みそうになる黒羽を片手で支え



「…あァ…はい、…」



黒羽はようやく重い瞼を開け、ゆっくりとその場へと立ち上がる。
















部屋を後にし、黒羽が欠伸をしながら先を歩く中



不死川は黒羽の髪へと挿しこまれた、蝶の髪飾りへと目を向けて



「(…曲がってンなァ、___)」



そんな事を思いながら、髪飾りに触れようとしたその時。



パシッと手を払い除ける、鋭い音が響いたかと思うと



黒羽は何事もなかったかのような顔で、不死川の方へと振り返り



「曲がってました?これで…どうですかね、」



自身の手で髪飾りの位置を直し、不死川にそう問いかける。



即座に手を払い除けられた不死川は、若干の苛立ちを抱えながらも



「…良ンじゃねェの、」



吐き捨てるようにして一言返し、伸ばした手をもとの位置へと戻す。



黒羽はふたたび前を向いて、歩き始めたかと思うと



「…今ので目覚めましたよ、害あるものから身を守る…人間の防衛本能って凄いですね。」



淡々とした口調でそう告げながら靴を履き、屋敷の戸へと手を掛ける。



「(…害って…、コイツ…。)」



黒羽の言葉に、不死川の苛立ちが募り始める中



任務へと向かう二人の前に家主が現れ、



「不死川様、黒羽様…此度の任務、お気を付けて行って行ってらっしゃいませ。」



穏やかな口調でそう告げた後、二人に対して丁寧に頭を下げる。



そんな家主に対して、不死川が「あァ」と返答する中



黒羽は何か思い出したかのようにして、口を開き



「あ…そういえば、昨日頼まれた件なんですけど……そもそも私はこの人の伴侶でも何でもないので、無理です。すみません、」



家主の方へと視線を向けて、そんな言葉を投げ掛ける。



「そうでございましたか…、私はてっきり…不死川様に良いお人が出来たのかと…。」



家主は黒羽の言葉を聞き、一瞬肩を落とした後



「いや、しかし…今後、そういったご関係になる可能性も___」



先程までとは打って変わった様子で、目を輝かせながらそう告げるものの



「無いです」



黒羽にきっぱりと否定され、家主はふたたび肩を落とす。



その後、黒羽は訂正するかのようにして



「まァでも、期限付きで良ければ…引き受けても良いですよ。」

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作者名: | 作成日時:2023年9月18日 10時

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