なぜか、私があのアイドル全般のメイク担当になった。4 (ページ21)

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120、眠れる森の。ページ21

《櫻井side》

　や、やっべー･･･。

　連れてきちゃったよ･･･。

　Aさんを。

　
　車で寝ててさ。

　あまりにも気持ちよさそうに眠るから･･･。

　起こすのもなんか気が向かなくて。

　浅泉に、俺の家まで送ってきてもらった。

　幸い、今は夜中の三時を回っている。

　人がいない。

　
　そのおかげで無事に部屋に着くことができた。

　部屋にあがると、即寝室に移動する。

　そして、背中に抱っこしていた彼女をベッドに横たわらせる。

　
　･･･今思った。

　これって･･･。

　
　“持ち帰り”じゃね？

　
　な、なんということをしているのだ、俺は･･･！！

　じゃあ、今からどうするって言うのか？
　
　なにも案が思い浮かばない。

　ここにいさせておくしか･･･。

　
　ごめん、Aさん。

　
　名前しか知らない男の家に、あがらせてしまって･･･。

　起きたら謝ろう。

　そう決めた。

　寒くないかな、疲れてるのかな、と彼女を見て不安になる。

　一応ベッドのシーツは洗ったから大丈夫だとは思うんだけど。

　
　･･･あれ？
　
　したら今日、俺は･･･どこで眠ればいいんだ？

　寝るとこがねえ。

　でも、うれしいことに、明日は珍しくオフだ。
　
　一日、家にいようかな･･･。

　
　Aさんのちかくにいたい。

　
　今くらい、貴女を独り占めさせて―――。

　
　見とれるくらいの白い肌。

　寝顔だって、綺麗。

　眠れる森の美少女みたい･･･。

　初めて会ったとき、マスクしてたから、よく顔がわからなかったけれど･･･。

　いざマスクを取ると、かなりの美人さんで。

　マスクを付けているのがもったいないくらい。
　
　
　･･･隣に寝ちゃ、引かれるよね。

　流石に怖いよね。

　ダメ･･･だよね。

　
　いつ起きるのかな･･･。
　
　ずっと隣にいちゃ、変態っぽいかな？

　仕方がない･･･。

　
　冷蔵庫にあるものでなんか料理を作ろう。

　お腹も空いてきたし･･･。

　
　でも、眠いな･･･。

　不意に大きなあくびがこぼれる。
　
　やばい、寝ちゃう―――。

　どんどん瞼が重くなり、目を開けているのも辛くなってきた。

　
　そんなときに目に入ってきた、Aさんの左手。

　その手に、俺は―――。

　
　手を重ねてしまう。
　
　
　床に座りこみながら、ベッドに顔をうずめ、眠りに落ちた――。