なぜか、私があのアイドル全般のメイク担当になった。4 (ページ19)

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118、あのこと　弐ページ19

“あのこと”

夢野花琳と赤羽見アリサの過去話

―――

　嵐の、二宮くんと、私なんかがぁ～･･･。でへへ。

　あっ、なにをにやけてるの私！？

　馬鹿馬鹿！

　これは、仕事なんだもん･･･！

「夢野さん、待合室へどうぞ」

　スタッフさんに連れられ、楽屋へ移動。
　
　その歩き方も、ルンルンだった。

「こちらです」

　･･････ん？

「では、撮影は一時間後ですので、またお伺いします。では」
　
　･･･ちょっと待ってスタッフさん。
　
「あ、あのぅ･･･」

　振り返っても、そこにはスタッフさんなど、いなかった。

　ま、待って。
　
　ドアの横に、入る人の名前が書いてある紙が貼ってあるんだけど･･･。

　
『夢野花琳様』
　
　
　私の名前の下に･･･―――。

『二宮和也様』

　その名前があった。
　
　待って、これって幻想じゃないよね？

　私の目が可笑しいわけじゃないよね？

　私の目は、節穴じゃないよね？

　う、嘘･･･！！

　二宮くんと、同じ楽屋なのっ！？

　
　待て待てマジかよ、なんで！？
　
　心臓のドッキドキが収まらないじゃないかぁっ！！

　も、ものすごい緊張するな･･･入るの･･･。

　ずっと現場で待ち続けるのも、なんか暇だし･･･。

　
　誰かと、同じ楽屋なんて私は何回かあるけれど･･･。

　流石に、ジャニーズは初めてだ。

　もう、いらっしゃってるのかな･･･？

　がくがく震える手を抑えながら、勇気を振り絞ってドアノブに手を伸ばした、そのとき―――。

　
　
「ん･･･？あ、あれ？」

　ドアが、あちら側から開いた。

　勝手に。
　
　自然に。

　
　それと同時に、聞き覚えのある声がした。
　
　目の前は、すらっとした長い脚が見える。
　
　これってもしかして･･･。

　
　に、二宮くん！？

　
「あれ？夢野さん？」

　
　や、やっぱりそうだ、二宮くんだ･･･！！

　余計に心臓の脈が可笑しくなりそうなのを必死に抑える。

　そして、上を向いた。
　
　
「あ、え･･･おはようございます！」

　
　目の前には。
　

「おはよう、夢野さん」

　神々しい、綺麗な―――。

「あ、入る？」

　
　
　二宮くんがいました。

　私は、このときわかったかもしれない･･･。

　
　

　

　
　
　“一目惚れ”を―――。