なぜか、私があのアイドル全般のメイク担当になった。4 (ページ18)

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117、あのこと　壱ページ18

“あのこと”

夢野花琳と赤羽見アリサの過去話

―――

「超有名超人気のあの子役が世界に発進！！」

　あたしは、そんな言葉をテレビから聞いた。

　誰のことを言っているのか、一瞬で理解した。

　
「夢野だ･･･。夢野花琳だッ･･･」

　
　夢野花琳。

　その名は、あたしと同期で友達の名前だった。

　あたし、赤羽見アリサと。

　あたしも子役だっていうのに、アイツの方が人気も、知名度もあって。

　なんか無性に腹立つ･･･！

　本名もさらさず、あたしが夢野花琳の本名を言っても周りの奴らは一切信じない。

　夢野花琳、本名、藤咲A。

　ネットに流したって、事務所が削除していく一方で、効果がない。

　でも、一回だけ思っちゃっただけだよ。

　
　･･･アイツを、痛い目に遭わせてあげたいって。

　
　嫉妬しているあたしも、自分でわかってる。
　
　人気もあって、本当に頭に来る。

　ウチのマネージャーも、あたしじゃなくて、夢野のことを応援してる。

　オモテでは、『ほら！アリサちゃん頑張ってっ！』的なことを言い放つ。

　だが。

　ウラでは、『ぎゃー！超絶かわいいよ！花琳ちゃーんっ！』ってどうせ言っているのだろう。

　そんなことをあたしは自分自身で見たことがあったから。

　証明は、あたしの目だ。

　こんなことを、事務所に知られちゃおしまいだ。

　あたしが、夢野を恨んで、憎んでいることを。

　そんな中、聞き覚えのある声とともに、一番聞きたくな声がした。

「･･･ッ！？アイツはどれだけやれば気が済むの･･････！？」

　
　あたしは、テレビに釘付けになって、前のめりになって見ていた。

　たった15秒のCMを。

　なんで、なんでアイツが･･･！アイツが･･･！！

　
　そのCMは、あたしの大好きな嵐の二宮くんと夢野が出ているCMで。

　オリーブオイルの紹介だった。
　
　ふたりで作ったサンドイッチや、パスタなどを、ふたりでほおばる。

　･･･ふたりで。

　美味しそうに、一口食べるごとに目を合わせ、ほほえみ合う。

　端からみれば、可愛い兄妹に見えるだろう。

　極端な言い方をすれば、カップルにも見えないことはない。

　アイツは、あたしが大好きな二宮くんを奪った。

　しれっと同じCMにも出てさ。

　ほんっとうに腹が立つっ･･･！！！

　本当に、本当に･･･！！