40.優しい男 ページ40
[A]
地面に崩れかけてる私をみて、
男は嬉しそうに笑い出す。
黒冥「ははっ。
ようやく苦しんでる顔をしたな。」
やばい……。
出血が多くてもう意識が……
左腕は腱を斬られて刀を握れない…
右腕も今の刀の破片が刺さって
とても握れる状態ではない…
足も破片が刺さって動かせない…くそ……
黒冥「とってもいい顔をしてるぞ!
さぁ俺の妻になれ。」
A「はぁっ……はぁ……うっ……断る。」
荒い息を押し殺して、
力強く言う。
黒冥「これだけ言ってもまだ断るのか。
なら、もっと苦痛に歪ませてやる!!」
なっ…………
こいつの手のひらから刀が出てきた…!
いや違う、
あれは砂でできてる。
恐らくこの男は魔道士だ。
さっきの破片が私に向かって飛んできたのは、
重力魔法で操ったんだ。
黒冥「まずはその美しい顔から刻んでやる!」
砂の剣を振り下ろされた。
ここまでか……
抵抗することも出来ず、諦めて刺されるのをまった。
でも痛みが来るのを待っても、
痛みが来ない…
あれ……?
ゆっくりと顔を上げると、
そこにはジュダルがボルグを出して立っていた。
ジュダル「こいつに何をしてやがる!お前!!」
A「ジュダル……」
黒冥「あぁ…もう来ちゃったか。
いつも神官殿はこの女に付きっきりだったから
今夜がチャンスだと思ったのになぁ。」
ジュダル「お前…
俺の補佐に手を出してタダで済むと思うなよ!!
サルグ・アルサーロス!」
黒冥「っち………!!
仕方がない王女よ!今夜は邪魔が入った。
また後日お前を我妻として迎えに行こう!」
それだけを言って
男は去っていった。
ジュダル「A…!!大丈夫か!?
待ってろ今止血を…!」
もう…意識が………
抱き抱えて手当をしてくれる
ジュダルの手を握って
A「なんで…きたの……
私、貴方に……酷い事言ったのに……」
ジュダル「そんなの関係あるかよ!!
いいから喋るな!血が出る!」
A「ほんとに……やさ、…………」
あれ、意識が…
重たい瞼が閉じる。
「A!!おい!しっかりしろ!!」
ジュダルが私を呼んでいる声だけは聞こえるが、
その声がどんどん遠くなっていき、
本当に意識がなくなった。
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作者名:花月 | 作成日時:2020年9月23日 3時