33.真の敵 ページ33
[A]
A「その銀行屋はパルミラ王国と同盟を組みたいと言ってきたけど、その銀行屋は良くないという
情報を予め東大陸の国々から教えられていた。
だから父上……
いえ、国王は銀行屋との取引を断っていたわ。
けど、その銀行屋が来た日を境に
私の姉は性格がガラリと変わり、姉のルフが黒く染まり出していった。
幼かった頃の私は、それが堕天だと言う事に気づかないまま姉と過ごしていた。
けどある日を境に姉は私と全く話さなくなり、
父上や母上とも話をしなくなった。
そしてある日の夜、
姉は母上を殺したのよ。
私は血だらけの母上と
黒い金属器をもっていた姉に出くわした。
そして姉は直ぐに城を去り、
国を滅ぼすために兵士を連れて内戦を起こすと宣言してきた。
母上が居なくなったばかりで、優しい性格の父上は病んでしまい、とても国を支えられる状態ではなかった。
だから私が、父上の代わりに姉の内戦を止めるために剣を取り、戦った。
剣なんて持ったこともなかった。
あんなに辛い訓練を沢山受けて、武人家として進まなきゃいけない。その道しかない。
ただ国を平和にしたくて、
私は剣をとり、姉と戦った。
結果は私達の勝利。
でも、とても良いものではなかったわ。
私は7歳で人を沢山殺した。
斬っても斬っても、見覚えのある家来達。
仲良かった人だって沢山いた。
そして、大好きだった
たった1人の姉すらも私は殺した。
内戦に勝って、平和が戻ったわ。
父上もようやく精神が安定して国を再び支えるようになり、それ以来内戦が起きたことはない。
でも、何年経ってもあの時
殺したかつて仲間だった人達の顔は忘れられない。
今思えば内戦なんてせず、
姉と話し合えば良かったと思っているわ。
だから白龍、
貴方にこんな辛い想いはして欲しくない。
一生十字架を背負って生きる覚悟はある？
どんなにいい事をしても、決して取れないのよ。」
白龍「A殿…
でももし、その内戦が仕組まれて起こったことなら、どう思いますか？」
A「仕組まれてって、どうゆうこと？」
白龍「その銀行屋、
恐らくアルサーメンという組織です。
A殿の姉上は、
黒い金属器を持っていたんですよね？」
A「えぇ。そうよ。」
白龍「やっぱり。
Aさん、俺が本当に倒したい敵はアルサーメンなんです。」
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作者名：花月 | 作成日時：2020年9月23日 3時
